ガミースマイルとディープバイトの改善・上顎前歯の圧下により外科手術を回避した症例(22歳女性)
患者様について
22歳・大阪市在住の歯科助手の患者様です。
「ガミースマイル(笑ったときに歯ぐきが見えること)」が気になるとのことでご来院されました。

谷木院長による症例解説
初診時の歯並びの状態
口腔内を拝見したところ、奥歯の噛み合わせは大臼歯関係Ⅱ級(上顎大臼歯前方位)で、ディープバイト(過蓋咬合)が認められました。
また、笑った際に歯ぐきの露出が多く、審美的な改善が求められる状態でした。
装置について
審美性を考慮し、上顎は裏側・下顎は表側に装置を装着するハーフリンガル矯正を選択しました。
診断と治療計画
本症例では、ディープバイトの改善方法として一般的な「下顎前歯の唇側傾斜」や「臼歯の挺出」ではなく、上顎前歯の圧下を主体とした治療計画としました。
これは、主訴であるガミースマイルの改善を最優先としたためです。
また、大臼歯関係はフルクラスⅡであったため、咬合関係の改善を目的として上顎左右の小臼歯(4番)を抜歯する方針としました。
治療初期の工夫
ディープバイト症例では、下顎前歯が上顎裏側装置に干渉するため、治療開始後3ヶ月間は上顎大臼歯の咬合面にバンドセメントを付与し、前歯が接触しない状態を作りました。
その間に前歯の配列を進め、安全に装置を機能させる準備を行いました。
アンカースクリューを用いた治療戦略
治療開始後4ヶ月目に上顎正中口蓋縫合部にアンカースクリューを2本植立し、大臼歯を固定しました。
その後、前歯の後方移動を開始しました。
さらに約半年後、スペースがある程度閉鎖した段階で、上顎左右2番と3番の間にアンカースクリューを追加し、前歯部の圧下を開始しました。
このように段階的にアンカレッジを強化することで、歯ぐきの露出を改善しながら理想的な歯列と咬合を実現しました。
治療の経過
初期3ヶ月で前歯の配列を行い、その後の約半年でスペースを閉鎖しました。
続く約半年で前歯の圧下を行い、最終的にルートパラレリング・咬合の緊密化・正中補正などのディテーリングを行いました。
治療結果
治療期間は2年でした。
ガミースマイルは改善され、自然で美しいスマイルラインを獲得しました。
また、ディープバイトも改善され、機能的にも安定した咬合が得られました。
患者様は他院で外科手術を提案されていましたが、外科処置を行わずに改善できたことにご満足いただけました。
治療概要
年齢:22歳
性別:女性
お住まい:大阪市
主訴:ガミースマイル
診断:Ⅱ級不正咬合・ディープバイト(過蓋咬合)
装置:ハーフリンガル矯正
治療方法:上顎小臼歯抜歯・前歯圧下
補助装置:アンカースクリュー(正中口蓋+前歯部)
通院頻度:1ヶ月に1回
治療期間:2年
矯正治療の主なリスク・副作用
歯の移動に伴い痛みや違和感が生じることがあります。
歯根吸収や歯肉退縮が生じる可能性があります。
アンカースクリューは稀に脱落することがあります。
装置装着中は虫歯や歯周病のリスクが高くなるため適切な口腔ケアが必要です。
保定装置を使用しない場合、後戻りが生じる可能性があります。
費用
治療費
総額143万円(税込)
※分割払いをご利用いただけます(月々約14,600円から)