アンカースクリューを用いて正中のずれを防ぎながら治療を行った症例(23歳女性)

患者様について

23歳11ヶ月・大阪市在住の患者様です。
「歯並びのがたつきが気になる」とのことでご来院されました。

治療期間:2年6ヶ月

院長 谷木俊夫

谷木院長による症例解説

初診時の歯並びの状態

口腔内所見および検査の結果、骨格性Cl.Ⅲ(受け口傾向)が認められましたが、大臼歯関係はAngle Cl.Ⅰで良好な状態でした。
また、横顔のバランスも良好なストレートタイプで、Eラインも整っていました。

当初は非抜歯での矯正治療を予定していましたが、左上第一小臼歯(4番)の歯根破折が判明しました。

診断と治療計画

左上4番は保存が困難と判断したため抜歯を行い、左上第一大臼歯(6番)を前方へ移動してスペースを閉鎖する治療計画としました。

通常、大臼歯関係がAngle Cl.Ⅰの状態からCl.Ⅱ(上顎大臼歯近心位)へ変化させるためには、大臼歯を約8mm前方へ移動させる必要があります。
しかし大臼歯を大きく近心移動させる場合、歯が前方へ傾斜したり、その反作用によって前歯が右側へ移動し、上下の歯列正中がずれるリスクがあります。

そのため本症例では、上顎正中口蓋縫合部に歯科矯正用アンカースクリュー(i-station)を2本植立し、左上犬歯(3番)を固定することで、前歯の不要な移動を防ぎながら大臼歯の前方移動を行う方針としました。

装置について

矯正装置にはハーフリンガル矯正装置を使用しました。
上顎は裏側矯正、下顎は表側矯正装置を使用し、審美性と治療効率の両立を図りました。

治療の経過

治療開始から約1年間はレベリングを行い、歯列の重なりを改善しました。
その後、上顎正中口蓋縫合部へアンカースクリューを植立し、前歯部の固定を確立しました。

固定源を確保した状態で左上4番部のスペースクローズを開始し、約6ヶ月で抜歯スペースを閉鎖しました。

スペース閉鎖後は、上下の歯列正中を一致させる調整や咬合の緊密化、歯根の平行性を整えるルートパラレリングなどのディテーリングを行い、最終的な咬合を仕上げました。

治療結果

治療期間は2年6ヶ月でした。
歯列の重なりは改善し、左上4番の欠損部も大臼歯の前方移動によって閉鎖することができました。
また、アンカースクリューを活用することで上下の歯列正中のずれを抑え、良好な咬合状態を獲得することができました。

治療概要

年齢:23歳11ヶ月
お住まい:大阪市
主訴:歯並びのがたつき
診断:骨格性Cl.Ⅲ傾向・叢生・左上第一小臼歯歯根破折
装置:ハーフリンガル矯正
抜歯部位:左上第一小臼歯(4番)
補助装置:歯科矯正用アンカースクリュー(i-station)2本
治療期間:2年6ヶ月

矯正治療の主なリスク・副作用

歯の移動に伴い痛みや違和感が生じることがあります。
歯根吸収や歯肉退縮が生じる可能性があります。
アンカースクリュー周囲に炎症が生じる場合があります。
装置装着中は虫歯や歯周病のリスクが高くなるため適切な口腔ケアが必要です。
保定装置を使用しない場合、後戻りが生じる可能性があります。

費用

治療費

総額143万円(税込)
※分割払いをご利用いただけます(120回払い:月々14,614円)

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