口元の突出感と下顎前歯叢生および上下正中不一致をハーフリンガルで改善した症例(21歳女性)
患者様について
21歳・大阪市在住の会社員の患者様です。
「歯のがたつき」「上下の歯の中心のずれ」「口元の突出感」を主訴としてご来院されました。
治療期間:1年10ヶ月

谷木院長による症例解説
初診時の歯並びの状態
口腔内を拝見したところ、下顎前歯部に中等度の叢生(歯の重なり)が認められました。
また、上下の歯の中心のずれと口元の突出感も認められました。
診断と治療計画
下顎前歯の叢生が中等度であったことに加え、口元の突出感も認められたため、歯列を整えるためのスペースを確保する目的で、上下左右の第一小臼歯を抜歯する治療計画を立案しました。
また、抜歯スペースを利用して前歯を後方へ移動する際には、大臼歯が前方へ移動してしまうことで前歯を十分に後退させられなくなる可能性があります。
そこで本症例では、上顎正中口蓋縫合部にアンカースクリューを2本植立し、上顎大臼歯を固定することで、前歯の後方移動を効率よく行える治療計画としました。
装置について
矯正装置にはハーフリンガル矯正装置を使用しました。
上顎は裏側矯正、下顎は表側矯正とすることで、審美性と治療効率のバランスを考慮しています。
治療初期の経過
治療開始後最初の3ヶ月間はレベリングを行い、歯の重なりを改善しました。
4ヶ月目に上顎正中口蓋縫合部へアンカースクリューを2本植立しました。
アンカースクリューが安定するまで約3週間待った後、上顎第一大臼歯を固定し、前歯の後方移動を開始しました。
アンカースクリューによる固定
アンカースクリューを用いて上顎大臼歯を固定することで、前歯を後方へ移動する際の反作用による大臼歯の前方移動を防止しました。
これにより、抜歯によって得られたスペースを前歯の後方移動に効率よく利用し、口元の突出感の改善を目指しました。
口元のバランスを考慮した治療
治療途中には口元の印象を確認しながら歯の移動量を調整しました。
前歯を後方へ移動するだけではなく、必要に応じて奥歯の位置を前方へ移動することで、口元が下がりすぎないようにバランスを考慮して治療を進めました。
また、上顎大臼歯の圧下(上方向への移動)も治療計画に組み込みました。これにより下顎骨のアンチクロックワイズローテーション(反時計回りの回転)を促し、前歯の位置だけでなく顔貌全体のバランスにも配慮しました。
治療の経過
アンカースクリューによる大臼歯の固定後、約1年間かけて前歯の後方移動を行いました。
その後は、歯の傾斜や咬合接触など細かな部分を調整するディテーリングを行い、上下の歯の中心や咬み合わせを整えました。
治療結果
治療期間は1年10ヶ月でした。
下顎前歯の叢生が改善され、歯並びが整いました。
また、上下の歯の中心のずれと口元の突出感も改善され、歯並びだけでなく口元のバランスも整った良好な治療結果となりました。
治療概要
年齢:21歳
性別:女性
お住まい:大阪市
職業:会社員
主訴:歯のがたつき・上下の歯の中心のずれ・口元の突出感
診断:叢生・上下歯列正中の不一致・口元の突出
装置:ハーフリンガル矯正
抜歯:上下左右第一小臼歯
補助装置:歯科矯正用アンカースクリュー(上顎正中口蓋)
治療期間:1年10ヶ月
矯正治療の主なリスク・副作用
歯の移動に伴い痛みや違和感が生じることがあります。
歯根吸収や歯肉退縮が生じる可能性があります。
抜歯スペースを閉じる過程で歯が傾斜することがあります。
アンカースクリューは、脱落や周囲組織の炎症が生じる可能性があります。
装置装着中は虫歯や歯周病のリスクが高くなるため、適切な口腔ケアが必要です。
治療後に保定装置を使用しない場合、歯並びの後戻りが生じる可能性があります。
費用
治療費
総額143万円(税込)
※分割払いをご利用いただけます(120回払い:月々約14,614円より)