インプラント矯正とは?
矯正用インプラント(歯科矯正用アンカースクリュー)を補助的に使用する治療法です。
歯を動かす際には作用と反作用があるため、矯正治療では動かしたくない歯まで動いてしまうことがあります。
従来は比較的動きにくい奥歯を土台として利用したり、ヘッドギア(ヘルメットのような器具)から奥歯を牽引したりしていました。
しかしながら奥歯は他の歯より動きにくいとはいえ土台としては不十分な場合があり、またヘッドギアなどの器具は継続的に使用することが難しいという問題がありました。
矯正用インプラントはそれらの問題を解決し、歯の動きを精密に制御することができ、また治療期間を大幅に短縮することができます。

インプラント矯正 3つの特徴
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01 PROCEDURE
矯正用インプラント手術は簡単です。
短時間の処置で治療を補助しやすい
無痛麻酔を行ってから約5分で手術は完了します。
術後の腫れや痛みもほとんどありません。ただし、インプラントを入れる場所や角度は重要です。
CTの分析により場所と角度の設定には十分検討を行います。 -
02 SPEED
治療期間を短縮することができます。
複数歯の移動を同時に進めやすい
例えばマウスピース矯正では一度に複数の歯を後方に移動することはできません。
インプラントを使用すると同時に複数の歯を移動することができるので大幅な治療期間の短縮ができるようになります。 -
03 OPTIONS
治療の可能性が広がります。
抜歯回避や難しい移動の選択肢が増える
インプラントを併用することでこれまで歯を抜かないと治療できなかったようなケースでも歯を抜かずに治療できることもあり、またこれまで難しかった下顎大臼歯の後方向への移動が可能となります。
矯正用アンカレッジシステム i-station
より精密で、より理想的な歯の移動を可能にするアンカレッジシステム
当院では、矯正治療の精度と仕上がりを高めるために「矯正用アンカレッジシステム i-station」(医療機器承認番号: 22600BZX0042600) を採用しています。
i-stationは、東京・原宿の神宮前矯正歯科 院長である斎宮康寛先生によって2003年より開発された歯科矯正用アンカレッジシステムで、現在も改良が重ねられ進化を続けています。当院では2015年より導入し、2025年現在までに1,000症例以上の患者様への埋入実績があります。
歯科矯正用アンカースクリューとは?
アンカースクリューは「一時的な固定源 (TADs: Temporary Anchorage Devices)」です。矯正治療中に顎の骨に小さなスクリューを埋入し、動かしたい歯だけを正確に動かすための支えとして使用します。
かつての矯正治療は、歯と歯を引っ張り合う相互作用によって歯を動かしていました。たとえば、小臼歯を抜歯して前歯を後方へ移動させようとすると、その反作用として奥歯が前方へ動いてしまい、前歯を十分に後退させられないという制約がありました。
アンカースクリューの登場により、奥歯を固定したまま前歯を最大限後方移動させること、歯列全体の後方移動、複雑な三次元的な歯の移動が可能になり、矯正治療の精度は飛躍的に向上しました。
i-stationの最大の特徴: 正中口蓋縫合部への植立
| 歯根間スクリュー | i-station (正中口蓋部) | |
|---|---|---|
| 植立位置 | 歯根の間 | 歯根が存在しない中央部 |
| 歯根接触リスク | あり | なし |
| 痛み | 出やすい | 比較的少ない |
| 移動方向の自由度 | 制限あり | 高い自由度 |
歯根間への埋入では、歯根との接触が脱離の主要因子 (リスク比8.7倍) とされています。正中口蓋部は解剖学的に歯根が存在しないため、最大の失敗リスクを回避できる安全性の高い部位です。
i-stationで可能になる歯の動き
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マキシマムアンカレッジ
抜歯症例において奥歯を完全固定し前歯を最大限後方へ移動
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大臼歯の近遠心移動
奥歯を前後方向に2〜3mm移動
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正中補正
前歯の中心のズレを水平的に修正
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圧下 (イントルージョン)
前歯や奥歯を上方向へ移動
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大臼歯幅径の調整
歯列弓幅をコントロール (片側のみの移動も可能)
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複数方向への同時牽引
エクステンションアームの設計変更による高度な力のコントロール
当院では10年以上の使用実績に基づき、症例ごとに最適な設計を行っています。
アンカースクリューの成功率
正中口蓋部への植立における成功率は88〜90%、歯根間への植立は平均約90% (部位により変動) です。成功率自体に大きな差はありませんが、失敗原因の質が大きく異なります。正中口蓋部は歯根との接触が起こらないため、リスクのコントロールが明確で予測性が高いという特徴があります。
リスクと当院の対策
i-stationは非常に有用な装置ですが、万能ではありません。主なリスクとその対策について正直にお伝えします。
脱離
骨質・骨の厚み、過度な力、清掃不良、植立時の摩擦熱が主な原因となります。
当院の対策: CTで骨の厚みを精密に評価したうえで、適正な力のコントロール、インプランターによる低速・低トルクでの埋入、注水下でのドリリングを実施
装着後の違和感
舌や唇に感じることがありますが多くの場合は慣れていきます。
当院の対策: 口内炎が生じた場合は樹脂カバーで保護
清掃不良による歯肉炎
当院の対策: 清掃指導・消毒、必要に応じた抗菌薬処方で対応
当院がi-stationを選択する理由
- 歯根損傷リスクを回避できること
- 強固なアンカレッジが得られること
- 三次元的なコントロールが可能であること
- 抜歯症例で最大限の前歯後退が実現できること
当院では「目立たない矯正」だけでなく、治療結果の美しさと長期的な安定性にもこだわる矯正治療を提供しています。i-stationはその理想を実現するための重要なツールのひとつです。まずはお気軽にご相談ください。
インプラント矯正 5つの真実
痛いのでは?
なくても治療はできるのでは?
手術の危険性はありますか?
使用する目的は何ですか?
治療終了後どうなるのですか?
インプラント矯正をお考えの方へ専門医からのメッセージ

インプラント手術につて
インプラントの手術はどうしても怖いと言われてしまうことが少なくありません。
そのような患者様でも実際インプラント手術を受けてみると簡単に終わることに驚かれることがしばしばです。
したがって、もしインプラントを併用することで治療期間を大幅に短縮できる場合や小臼歯の抜歯をしないですむ場合などインプラントを併用することで大きなメリットを得られることが予測される際には前向きにインプラント矯正を検討していただければと思います。
インプラント矯正はこのような方に特におすすめです
受け口や開咬でお悩みの方
受け口の場合には下の歯の後方への移動が必要です。
このような歯の移動はインプラントを併用しなければできない治療となります。
また上下の前歯が離れている場合には前歯を単純に伸ばす方向に移動する方法もありますが、奥歯の当たりを弱くする方法が適切な場合があり、その際にはインプラントが必要になります。
できるだけ早く治療を終えたい方
上の歯を後方に移動したい場合、マウスピース矯正単独の治療では奥歯から順番に1本1本動かしていくというシステムで歯を移動します。
その場合、移動が1本ずつなので治療期間がどうしても長くなる傾向にあります。
インプラントを併用すれば複数の歯を同時に移動できるため治療期間を大幅に短縮することが可能です。
歯列矯正の種類

マウスピース型装置

インプラントの併用
