歯列矯正中のトラブル
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マウスピース矯正
マウスピース矯正のトラブルで考えられるのはアタッチメント呼ばれる歯を効率的に動かすための突起物が外れることがあります。
またマウスピースにヒビが入ったり失くされたりすることがあるかもしれません。そういった時の対処法を解説させていただきます。 -
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正ではマウスピース矯正に比べ装置が複雑なため、様々なトラブルが起こる可能性があります。
ただ事前に予測できることが多いのでその対処法を解説させていただきます。
歯列矯正の途中に起こりうるトラブルと対処法
装置やアタッチメントがはずれた
歯列矯正では矯正治療終了後に装置を撤去する必要があるためあまり強い接着剤を使うことができません。仮に虫歯治療の被せ物を接着するような材料を用いた場合は矯正治療中に装置が外れるようなトラブルは起きないかもしれませんが、装置を撤去する際に歯を削らなければなりません。そこで歯列矯正では治療が終わった際に装置が簡単にはずれるようにあえて弱い接着剤を使っています。
そういった理由から歯列矯正中に装置が外れてしまうことはめずらしくありません。装置が外れてしまった場合はまずは治療中の医院に連絡を取りましょう。その際に場所を伝えるのも忘れないようにしてください。外れた場所によっては付け直しが次の来院まで必要ない場合もありますし、早急に付け直しが必要な場合もあります。また外れた場所を医院が分かっていれば事前に準備ができるので装置の付け直しがスムーズです。
矯正治療中の歯の痛み
歯が動く際には個人差が大きいですが、痛みを伴うことが多いです。かつては矯正治療中に痛み止めを服用すると歯の動きが悪くなるということが言われていましたが、今は矯正治療中に痛み止めを飲んでも歯の動きには影響しないと言われています。もし歯の動きによる痛みが我慢できない場合には痛み止めで軽減することができます。ただし痛み止めは胃に負担がかかる場合がありますので担当医に相談してください。
その他には1日10分噛むだけで痛みを軽減できる特殊な機器もありますので胃が弱い方や、矯正治療に伴う痛みが心配な方は治療前に担当医にご相談ください。
ワイヤーの後方が刺さって痛い
歯が並んでくると、ワイヤーの変形が少なくなり、余ったワイヤーが後方へ出てくる場合があります。あらかじめ後方のワイヤーを曲げておくことができれば刺さることはありませんが、後方にワイヤーを曲げるためのスペースがない場合もあり、その場合には伸びて痛い部分をカットする必要があります。ディスタルエンドカッターという特殊な器具を必要としますので通院中の医院にワイヤーの後方が刺さって痛いとご連絡ください。医院側がすぐ終わる処置だと分かっていれば予約を取りやすいと思います。
ワイヤーを結んでいる線が刺さって痛い
結紮線という細いワイヤーで歯を動かすための太いワイヤーを固定することがあります。治療直後は結び目を太いワイヤーの下に折り込んでいますが、食べ物や歯ブラシが引っかかって結び目が出てくることがあります。裏側矯正では結び目を目視することが難しいですが、表側矯正では結び目が目視できると思いますので、爪楊枝の後ろ側などで舌や唇が当たらない位置に再度折り込んであげると痛みを改善することができます。
歯がしみる
矯正治療で歯を動かすと一時的に歯が浸みることがあります。これは一時的な知覚過敏ですので2、3日で自然に治ることがほとんどです。矯正治療開始と同時にシュミテクトなど近く過敏に効く歯磨剤を使用することで予防することもできます。
頬や舌に口内炎ができた
矯正装置を付けると舌や頬に口内炎ができることがあります。これは初めて鉄棒をした際に手に豆ができることとよく似ていて、次第に豆ができなくなるのと同じで、お口の中も刺激に慣れてくることによって口内炎ができにくくなってきます。最初の1ヶ月くらいはできやすい時期がありますのでギシグーやホワイトワックスといった粘土のような材料で矯正装置をカバーしてあげると口内炎に装置が当たらなくなるので比較的楽になります。
リテーナーが壊れた、失くした
リテーナーには歯の裏側に接着剤で固定するタイプやマウスピース型、ワイヤーとプラスチックを組み合わせた装置などがあります。保定装置は2年前後使用することが多く、比較的長期間使用するため、その期間に1度や2度は破損してしまうことや紛失してしまうことがあるかもしれません。矯正治療終了後あまり時間が経過していない場合には歯が動いてしまう可能性があるのでなるべく早くリテーナーを修理または作り直す必要があります。マウスピース型の場合には医院で何度でも複製を作ることができることが多いので、来院できなくても郵送で解決できる場合もあります。