【セカンドオピニオン】他院で「マウスピース矯正でどんな歯並びでも治療できる」または「マウスピースでは治療が難しい」と言われた方へ。

こんにちは。大阪市北区の医療法人梅田リンガル矯正歯科医院 大阪オルソです。
当院には、他の歯科医院で矯正相談を受け、比較検討した結果、医院によって見解が違うため、結局どの治療方法が正しいのか分からなくなったとお悩みの方が後を絶ちません。
「あなたの歯並びは、マウスピース(インビザライン)では治せません」
「アゴの骨格による問題もマウスピース(インビザライン)で治ります」
このように言われてしまい、「どちらが正しいのか分からない」「治療自体が不安になってしまった」と、矯正治療を諦めかけている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、諦めるのはまだ早いです。 ある医院で「無理」と言われた症例でも、技術とアプローチを変えることで、治療できる可能性は十分にありますし、またマウスピース単独では難しい治療もワイヤーやアンカースクリューを併用することで治療できる可能性もあります。
今回は、難症例のリカバリーを得意とする専門医院の立場から、その理由と可能性についてお話しします。
目次
1. なぜ医院によって「診断結果」が違うのか?
まず知っていただきたいのは、「矯正治療の診断は、ドクターの知識や技術、経験によって大きく変わる」ということです。
例えば、マウスピース矯正の経験が浅い医院や、ワイヤー矯正の技術を持たないマウスピース矯正専門医院では、難しい症例になると「うちでは対応できない」となったり、逆にマウスピース矯正単独では治療が難しい症例でも「マウスピースで何でも治せる」という判断になったりします。
つまり、「治療が不可能な歯並び」「治療が容易な歯並び」なのではなく、「その医院の設備や技術では対応できない歯並び」または「その医院の経験では治療が難しいことが予測できない歯並び」であったかもしれません。
2. 「マウスピース単独」では無理でも、やり方はある

インビザラインなどのマウスピース矯正は万能ではありません。重度のデコボコや、骨格的なズレが大きい場合、マウスピース単独では歯が予定通りに動かないことがあります。
マウスピース矯正では難しい歯の動きに関しては多数の論文があります。
西オーストラリア大学が発表した2025年の論文では歯の動きを予測実現性によって「低予測性」「中等度予測性」「高予測性」の3つに分類しています。さらに治療の難易度やその対策についても述べられています。
予測実現性の分類
低予測性(達成率50%未満)
- 挺出(前歯・臼歯):最も予測性が低い動きです。前歯の挺出は平均46%、臼歯は38-53%の達成率
- 圧下(前歯):26-48%と非常に低い達成率となっています。
- 回転(小臼歯・犬歯):全体平均は46%の予測性となっています。上顎犬歯32-52%、下顎犬歯29-55%、小臼歯39-51%
- トルク(歯根の角度変化):前歯で21-35%と極めて低い達成率となっています。
中等度予測性(達成率50-75%)
- 回転(切歯):上顎中切歯54%、側切歯51%、下顎切歯71%
- 近遠心傾斜(ティップ):研究により40-98%と幅広い結果となり、達成率にばらつきがあります。
高予測性(達成率75%以上)
- 拡大:上顎で63-88%、下顎で87-88%の達成率となっています。
- 上顎臼歯の遠心移動:約87%の達成率で、2-3mmの移動が可能です。
不正咬合別の治療適応
適応が良好な症例
- 臼歯関係Ⅱ級(上顎大臼歯遠心移動による治療):高い予測性
- 前歯部開咬(2mm未満):臼歯の圧下と切歯の挺出の組み合わせで良好な結果
- 軽度〜中等度の叢生(非抜歯):側方拡大による治療で87%(上顎)、81%(下顎)の達成率
適応が不良な症例
- 過蓋咬合(ディープバイト):33-46%の低い達成率。抜歯症例ではわずか8.7%
- 小臼歯抜歯症例:望ましくない動きが多発
- 第一大臼歯:近心傾斜
- 犬歯:遠心傾斜、舌側傾斜
- 切歯:舌側傾斜、挺出
- 大きな回転や歯根移動が必要な症例
予測性向上のための戦略
- アタッチメントの使用:歯とアライナーの接触面積を増やし、力の精密な適用を可能にする
- アライナー装着期間:2週間交換の方が1週間より予測性が高い
- 複雑な動きの段階的実施:一度に多くの動きを計画しない
- ボタンの併用:顎間ゴムと組み合わせて力系を改善
- IPR(歯間削合):接触の干渉を解消し、歯の移動を円滑にする
論文の結論
マウスピース矯正は多くの症例で優れた結果が得られますが、過蓋咬合の改善、抜歯症例での大きなスペース閉鎖、犬歯・小臼歯の大きな回転、歯根の角度変化が必要な症例では予測性が低くなります。患者には予測性の限界を説明し、必要に応じて固定式装置の方が良好な結果が得られる可能性があることを伝えるべきです。
参考文献
Steven Naoum, Richard Lee(西オーストラリア大学)Seminars in Orthodontics 2025年掲載
マウスピース矯正で難しい歯の動き
またマウスピース矯正における個々の歯の動きの評価や適用症例、ワイヤー矯正との比較については下記のような論文も参考になります。
1. 回転(Rotation)
マウスピース矯正において、回転は最も予測実現性が低い歯の動きの一つとされています。
複数の研究やシステマティックレビューにより、予定された回転量と実際に達成された回転量との間には有意な乖離があることが示されています。特に犬歯や小臼歯は歯冠形態が円柱状に近く、アライナーによる把持が不十分となりやすいため、回転力が効率よく伝達されにくいと考えられています。
一方、前歯(特に中切歯)では比較的高い回転精度が得られるものの、歯種による差が大きい点が特徴です。
2. 挺出(Extrusion)および圧下(Intrusion)
歯の垂直的な移動である挺出や圧下も、マウスピース矯正では難易度が高い動きとされています。
特に挺出は、多くの研究で最も予測実現性が低い歯の移動と報告されています。アライナーは歯を包み込む構造上、歯を「引っ張る」方向の力を発揮しにくく、歯冠への確実な牽引力を付与することが困難です。
圧下についても、部位や設計によって差はあるものの、固定式装置と比較すると精度は劣るとされています。
3. トルクコントロール(Torque)
歯根の傾きや歯軸の三次元的制御(トルク)も、マウスピース矯正では難しい動きの一つです。
トルクは歯冠と歯根に異なる力を同時に与える必要があり、アライナー単独では十分なモーメントを発生させにくいと考えられています。特に前歯部の唇舌的トルクコントロールでは、計画値と実際の歯の動きに差が生じやすいことが報告されています。
マウスピース矯正で難しい症例
1. 重度の不正咬合や複雑な三次元的移動を伴う症例
軽度から中等度の不正咬合では良好な治療結果が得られる一方で、重度の叢生、著しい回転、顕著なトルク変化を伴う症例では、治療の再設計や追加アライナーが必要となることが多くなります。
2. 円柱形に近い歯を含む症例
犬歯や小臼歯など、歯冠形態が円柱状に近い歯を多く含む症例では、回転やトルクのコントロールが難しくなりやすいとされています。
3. 過蓋咬合の改善を要する症例
ディープバイトなど、垂直的な咬合改善を必要とする症例では、アライナー単独での対応が難しく、補助的な装置やワイヤー矯正との併用が検討される場合があります。
ワイヤー矯正との比較
複数の比較研究およびシステマティックレビューにより、固定式ワイヤー矯正は回転やトルクといった複雑な歯の動きにおいて、マウスピース矯正よりも高い制御性を示す傾向が報告されています。
特に犬歯や前歯の回転・傾斜移動において、固定装置の方が計画通りの歯の動きを達成しやすいとされています。ただし、マウスピース矯正は審美性や可撤性といった利点があるため、症例選択が重要となります。
まとめ:マウスピース矯正の限界
マウスピース矯正では以下のような歯の動き・症例が特に難しいとされています。
- 犬歯・小臼歯を中心とした歯の回転
- 挺出(extrusion)や圧下(intrusion)などの垂直的移動
- 精密なトルクコントロール
- 重度不正咬合や複雑な三次元的移動を伴う症例
これらの点を踏まえ、症例によってはワイヤー矯正や他の矯正装置の併用が適切と判断される場合があります。
参考文献
- Papageorgiou SN, et al. Effectiveness and predictability of clear aligner treatment: A scoping review. Progress in Orthodontics. 2023. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37086643/
- Kravitz ND, et al. Predictability of tooth movement with Invisalign. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics. 2009. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19268824/
- Haouili N, et al. Has Invisalign improved? A prospective follow-up study on the efficacy of tooth movement with Invisalign. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics. 2020. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32081496/
- Castroflorio T, et al. Predictability of orthodontic tooth movement with aligners: A systematic review. Progress in Orthodontics. 2022. https://link.springer.com/article/10.1186/s40510-022-00453-0
- Ke Y, et al. Comparison of orthodontic tooth movement between clear aligners and fixed appliances. American Journal of Orthodontics and Dentofacial Orthopedics. 2023. https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S088954062300032X
当院の治療アプローチ
以上のことから当院では「マウスピース単独での治療」にこだわりません。
コンビネーション治療
マウスピースでは動きにくい部分だけ「ワイヤー矯正」を使い、ある程度整ってからマウスピースに移行する。またマウスピース矯正で起こった副作用を他の装置でリカバリーする。
アンカースクリュー
小さなネジを歯茎(顎骨)に埋め込み、それを固定源にしてマウスピースだけでは不可能な強い力で歯を動かす。
これらの補助的な装置や技術を組み合わせることで、他院で「マウスピースでは無理と断られた症例」や「マウスピース矯正で治らなかった不正咬合」でも、ご希望に近いスタイルで治療が可能になるケースが多くあります。
3. 外科手術を回避する「カモフラージュ矯正」という選択肢
「アゴが出ている」「骨格が歪んでいる」といった理由で、外科手術(アゴの骨を切る手術)を提案された方もいらっしゃるでしょう。
もちろん、骨格そのものを根本から変えるには手術が必要です。
しかし、手術を伴う治療は入院やダウンタイムなどの負担が大きいため、治療に踏み切れない方がほとんどです。そこで手術をせずに、歯の傾きや位置をコントロールし、骨格のズレを目立たなくさせる「カモフラージュ矯正(代償治療)」という手法があります。当院では、このカモフラージュ矯正の経験も豊富です。
「完璧な骨格」にはならなくても、「手術なしで、見た目のコンプレックスを解消し、機能的に咬める状態」まで矯正治療のみで到達できる可能性が十分にあります。
4. 専門医院だからできる「リカバリー」の技術力

当院は、裏側矯正とマウスピース矯正の専門医院として、多くの難症例やリカバリー症例(他院での治療中断など)に向き合ってきました。
私たちの強みは、「一つの治療法に固執しないこと」です。
患者様の「手術はしたくない」「なるべく目立たずに治したい」「マウスピースで治療したい」という想いを最優先し、あらゆる技術と装置を駆使して、そのゴールにたどり着くためのルートをご提案します。
「他院で断られたけれど、ここでなら治療できた」 そう言って笑顔で卒業される患者様が、当院にはたくさんいらっしゃいます。
5. まとめ:諦める前に、一度当院の初診コンサルテーションへ

「外科手術しか道はない」「マウスピースはできない」「マウスピース矯正で何でも治療できる」
その言葉だけで、矯正治療に不信感を持たないでください。
診断は、ドクターによって変わります。
もし、現在の診断に少しでも迷いや不安があるなら、ぜひ一度、当院のセカンドオピニオン(初診カウンセリング)にお越しください。
※他院様で治療中の方のセカンドオピニオンは受け付けておりません。
あなたの歯並びと骨格を精密に分析し、「手術なしでどこまで治せるか」「どのような方法なら可能か」を、専門医の視点で正直にお話しさせていただきます。
あなたの「治したい」という気持ちに、私たちは全力でお応えいたします。
医院情報
医療法人梅田リンガル矯正歯科医院 大阪オルソ
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