前々回のブログで日本人に多い咬み合わせについて書かせていただきましたが、そもそも正常な咬み合わせというものはどういった咬み合わせなのでしょう。
大学の図書館で正常咬合を調べてみますと様々なことが書いてあります。
例えば大多数の人が有する典型的で標準的な咬合とか最適な口腔環境・解剖学的調和・機能的調和・咬合安定というふうに書かれています。しかし、臨床生理咬合という本ではまだ定義づけができないとも書かれていたり、正常咬合の研究で3900人の中で正常咬合者は41人しかいなかったというデータもあったりもします。なかなか良い咬み合わせというものを説明するのは難しいことが分かります。
今回はこれまで正常咬合について研究されてきた歴史と、矯正歯科医が目指すべき咬み合わせの代表的なものをご紹介します。
アングルは奥歯の咬み合わせが正常咬合確立の重要な要因と唱え、ツイードは下顎前歯と下顎骨の位置関係に注目し、咬合と顔面の関係を唱えました。またアンドリューは下記の6つの条件を提唱しました。
- 上下歯列弓間の関係(上下の歯が並ぶアーチの前後的な位置や幅の関係)
- 歯冠のアンギュレーション(歯を正面からみたときの傾き)
- 歯冠のインクリネーション(歯を横からみたときの傾き)
- ローテーション(歯を咬む面からみたときの角度)
- 緊密な歯冠接触(隙間がないこと)
- スピー湾曲(歯並びを横からみたときに奥歯と前歯の高さにあまりズレがないこと)
これらの条件を満たす咬み合わせは見た目と長期安定性を両立できると言われています。
歯並びの治療は見た目を整えるだけではなく、食べ物を咬み砕きやすくしたり、歯の負担を減らしたりすることができます。歯の負担を減らすことにより、お年を召されてから歯が抜けるというリスクを大幅に減らすことができると言われています。虫歯や歯周病で歯が抜けてしまうことはよく知られていますが、歯並びのせいで歯が長持ちしないということはまだあまり知られていません。まずはご自分の咬み合わせに問題がないか知ってみてはいかがでしょうか。当院のHPトップページの右上に写真メール相談をご用意させていただいております。携帯電話で撮った写真(正面と横と咬む面の3枚)を添付できますので、わざわざご来医院いただかなくてもある程度のことがお答えできる体制です。お気軽にご利用ください。