子どもの頃は歯が綺麗だったのに、最近鏡を見ると昔より前歯がでてきているような気がするといった経験はないでしょうか。
実は歯並びは大人になってからも変化します。特に大人になってから歯が抜けたままの状態でいると、短期間のうちに歯並びが変化することがあります。また歯周病などで歯肉や歯茎に炎症が広がると、歯槽骨を溶かして歯が動きやすくなるため歯並びが変わってしまうこともあるのです。
今回は大人になってから歯並びが変化する理由と解決法について解説します。歯並びが気になる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
「昔より前歯が出てきた」と感じている方は多い
実は昔より前歯が出てきたと感じる方は多く、大半の方はそのまま治療しないケースが少なくありません。いわゆる出っ歯は骨格や歯の大きさが遺伝的要因で発症するケースもありますが、後天的な生活習慣などからも発症することがあります。
大人になって前歯が出てきたり、出っ歯になったりして歯並びが変化することは珍しいことではありません。例えば指しゃぶりや楽器の演奏によって前歯が出てくることもあります。
そのほかには舌癖と呼ばれるものにも注意しましょう。舌癖の特徴は飲み込むときに上下の歯で舌を挟んだり、舌で歯を内側から押したりすることです。こうした何気ない行為の繰り返しで前歯が出てくると考えられます。舌癖はトレーニングすれば治ることもあり、舌癖改善用の矯正装置もありますので歯科医に相談してください。
前歯が出てくれば、それがコンプレックスになって笑顔で会話ができなくなる方もいます。また、前歯が出てくると口唇閉鎖不全により歯周病や虫歯などで大切な歯を失うケースも少なくありません。前歯が最近出てきたかもと感じたら歯科医院で診てもらいましょう。
昔より前歯が出てくるときに考えられる5つの理由
昔より前歯が出てくる原因として様々な理由が考えられます。そこで、前歯が出てくる5つの主な原因について具体的に解説していきます。もし該当するものがあれば、1度歯科医院に相談してみましょう。
- 歯周病が進行している
- 歯ぎしりをしている
- 親知らずが歯を押している
- 治療が必要な歯を放置している
- 前歯の前方への傾斜が進行している
➀歯周病が進行している
歯磨きを怠ることで歯周病が進むと、歯茎の中に埋まっている歯槽骨が溶けることがあります。その結果、歯が動き出し噛み合わせにズレが起こり、歯並びが変化することがあるのです。
また、口呼吸する癖がある方は口腔内が乾燥しがちで、唾液の分泌量が減少することで歯周病が起こりやすくなります。歯がグラグラしているなどの症状があれば、歯周病が進行している恐れがあるため、早めに歯科医院を受診しましょう。
➁歯ぎしりをしている
寝ているときに無意識に歯ぎしりをする方も注意しなければなりません。歯ぎしりをすると、歯に約150kgの力がかかるといわれています。長期間でこれだけの力が歯にかかれば歯並びに大きな影響を及ぼすことは明らかで、歯ぎしりで歯が欠けたり、割れたりする方もいるくらいです。
歯ぎしりで前歯が出たように感じる原因は下顎前歯の咬耗(磨り減り)で噛み合わせが深くなるからです。前歯の縦方向重なりが大きくなると、上下の前歯に前後的なギャップが大きくなり、前歯が出たように見えるのです。
就寝中の歯ぎしりは自分では自覚がないのがほとんどのため、家族に確認したり定期的に歯科医院で受診して対策しておきましょう。歯科医院では、歯ぎしりによる咬耗を防止するオーダーメイドのマウスピースを作成することができるため安心して治療ができます。
➂親知らずが歯を押している
親知らずは、永久歯に生えかわってからしばらくしてから生えてくるもので、多くの方が抜歯を経験しています。日本人は顎の奥行きがあまりないため親知らずはまっすぐに生えてくる方が少なく、横向きに生えたり傾斜して生えてきたりするケースがほとんどです。
糸切り歯が乳歯から永久歯に生え変わる際に前歯の隙間が閉じた経験はないでしょうか。親知らずも同様に奥歯を押して生えてくることがあり、奥歯が前方に押されて歯並びが乱れることがあります。このようなケースは矯正歯科医の指示に従って治療を進めましょう。
またこのような生え方の親知らずは歯ブラシが届きにくく、歯周病や虫歯を引き起こす原因にもなりかねません。そのため抜歯が必要になるのですが、親知らずは根が深く、歯も大きいため抜歯することが難しいケースが少なくありません。抜歯の際には上顎洞埋入や下歯槽管損傷のリスクもありますので、萌出前の親知らずの抜歯は口腔外科医に相談してみてください。
親知らずを抜歯するかどうかのポイントは次の2つです。
- 口の中で悪影響を及ぼさない
- 歯としての機能をしっかり果たせている
➃治療が必要な歯を放置している
歯周病や虫歯が原因で歯が抜けたままの状態にしておくと、空いたスペースを埋めようと歯が自然に動き出します。あるいは治療を途中でやめた場合も、隣の歯が傾斜することで歯並びに大きな影響を及ぼすことがあります。
また、虫歯で咬合面(歯の噛む面)をを削ったまま治療途中で放置した場合、対合歯(噛み合う相手の歯)が噛み合わない状態になります。高さを調整していない歯は噛み合わせが悪く、対合歯が挺出して時間とともに歯並びまで悪化する原因になりかねません。
治療を自己判断で中断してしまう方もいらっしゃいますが、そのときは自覚症状がなくても放置しておくと将来的に問題を引き起こすリスクも存在します。ずっと健康な歯で食事をしたいならば、最後まできちんと治療を行うことが大切です。
➄前歯の前方への傾斜が進行している
前歯が前方に傾斜することを、フレアーアウトと言います。フレアーアウトが進行すると、前歯が傾斜することでできた隙間が目立つようになることもあります。
大人の噛み合わせがズレる主な原因には上記の①〜④のような歯周病や治療途中の虫歯の放置、歯ぎしりがなどがありますが、それが複数組み合わさって歯並びがが変化することもあります。歯には日常的に大きい力がかかっているため、何らかきっかけがあると比較的簡単に動いてしまうものなのです。前歯は元々前方に少し傾斜しているため、歯が動くきっかけを与えてしまうと傾斜がより大きくなり、唇側に倒れていきます。そうすると前歯が出っ歯の状態になり、さらに進行すると歯と歯の間に隙間が開いてしまいます。
フレアーアウトの原因は様々で、放置すると歯を失うことになりかねません。このような状態に気がついたら早めに歯科医に相談しましょう。
前歯が出てくるときの対処法
前歯が出てきたときに放置しておくと、その原因となった問題がさらに悪化する可能性が高いです。それでは、前歯が出てきたときの下記の対処法について解説します。
歯周病や虫歯の治療を行う
歯周病や虫歯は、大人の歯並びに大きな影響を与えるため早めに治療しましょう。特に歯周病は進行すると、歯がズレてくる原因につながります。
歯周病の原因は歯周病菌と呼ばれる細菌であり、歯茎に炎症を起こし歯槽骨にダメージを与える病気です。プラークコントロールという言葉がありますが、プラークとは歯の表面についている白いカスのようなものです。これが歯周病菌の正体であり、放置すると歯周病が歯槽骨まで広がっていきます。
丁寧なブラッシング、デンタルフロスや歯間ブラシで簡単に除去できるので、毎日欠かさず行うことが大切です。また歯周病が進行してしまっても、歯科医院で治療することで歯肉や歯槽骨が健康な状態に戻り、歯並びが合わなくなるのを防げます。
親知らずを抜く
歯並びが合わなくなるのは親知らずも大きな原因の一つです。日本人は欧米人に比べ顎が小さいにもかかわらず、欧米人と同じ本数の歯が生えています。つまり、親知らずが生えるときはすでに歯が生えるスペースがない状態になっていることが多いのです。
親知らずは「第三大臼歯」ともいわれる最後に生えてくる歯ですが、歯列にスペースがない状態ですと傾いて生えてきたり、横向きに出てきたりすることがあります。横向きに生えている親知らずは、歯ブラシが届かずに歯周病や虫歯になりやすく、歯茎が炎症を起こすこともあるため注意が必要です。
このような親知らずを放置しておくと、手前にある歯を将来的に失う危険性があるだけでなく、歯並びが悪くなる原因にもなるため早めの抜歯が大切です。
就寝中はマウスピースをつける
歯ぎしりが原因で前歯が出ている場合は、就寝中に歯に力がかからないようにマウスピースを装着することをおすすめします。
マウスピースはオーダーメイドのため、自分の歯型に合ったものを使います。マウスピースを装着すれば歯ぎしりで歯が欠ける、知覚過敏症、顎関節症、咬耗の進行を防ぐことも期待できるのです。
矯正治療を行う
前歯が出てきたときは、早めの矯正治療が大変重要です。治療方法は症状によって一人ひとり異なりますので、矯正歯科で相談のうえ決めていきましょう。
出っ歯の治療には部分矯正をはじめ、全体矯正など歯列を整える以外にも審美性に優れたセラミックによる補綴治療など様々なものがあります。矯正治療で噛み合わせが良くなれば歯や歯茎、顎にかかる力も均等になりますので、見た目だけでなく歯の機能も整うでしょう。
まとめ
昔に比べて前歯が出てきたなど、大人になってから歯並びが変化する理由と解決法について解説しました。様々な原因で大人になってから歯並びが悪くなるケースがあるのが、お分かりいただけたのではないでしょうか。
歯並びを整えるためには矯正治療が必要ですが、不安材料もあるためなかなか治療に踏み出せない方は少なくありません。
「大阪オルソ」はそういった悩みを抱えている女性の矯正治療を専門的に行っています。丁寧なカウンセリングとオーダーメイドの治療を行っており、結婚や出産に合わせた矯正治療など患者様のライフスタイルに合わせた治療も対応可能です。
前歯が動いてしまって矯正治療を検討されている方は「大阪オルソ」にお気軽にお問合せください。
著者:谷木俊夫