多くの人が抱えている口元のお悩みに「出っ歯」があります。出っ歯は先天的な問題と考える人もいますが、日常生活の癖が原因で後から出っ歯になることもあるため注意しましょう。この記事では、出っ歯の原因6つを細かく紹介するとともに、出っ歯を放置するリスク、そして出っ歯の改善方法もくわしく解説します。
目次
そもそも出っ歯とは?
出っ歯は「上顎前突」とも呼ばれます。下の歯よりも上の歯が飛び出している状態で、先天的な理由で出っ歯になることもあれば、日常の癖など後天的な理由で出っ歯になることも珍しくありません。とくに大きな影響がでるのは見た目ですが、それ以外にも放置するリスクは多く、治療による対策をおすすめします。
出っ歯の原因6選
出っ歯の主な原因となるのは、先天的・後天的な理由をあわせて以下の6つです。
<出っ歯の原因6選>
- 先天的な骨格
- 指しゃぶりの癖
- 楽器の演奏
- 歯ぎしり
- 親知らず
- 歯周病
なぜ出っ歯になるのか、まずはメカニズムを理解しておきましょう。
①先天的な骨格
両親から受け継ぐ骨格的な遺伝により、出っ歯になる場合があります。両親や親族にも出っ歯の人がいる場合、先天的な事情で出っ歯になっていると考えましょう。逆説的にいえば、近しい血縁関係がある人のなかに出っ歯の人がまったくいない場合は、後述する「癖」が原因で出っ歯になっているかもしれません。
②指しゃぶりの癖
幼少期から指しゃぶりの癖が長く続いた場合、その圧迫を受けて前歯が前方に傾き、出っ歯になるリスクを高めます。爪を噛む癖なども指しゃぶりと同様の理由で出っ歯の原因になることがあるため、4~5歳になった後も指しゃぶり・爪を噛む癖が付いている場合は注意しましょう。
③楽器の演奏
クラリネットなどを始めとする噛み締めるタイプの楽器を多用する人の場合、日ごろの習慣により出っ歯になりやすい傾向にあります。管楽器は前歯が立っているほうが演奏しやすい傾向にもあり、本格的な演奏を始める前に歯列矯正で出っ歯を改善させるとよいでしょう。
④歯ぎしり
歯ぎしりで前歯が出たように感じる原因は、下顎前歯の咬耗(すり減り)で噛み合わせが深くなるからです。前歯の縦方向の重なりが大きくなると、上下の前歯に生じる前後的なギャップが大きくなり、前歯が飛び出しているように見えてしまいます。
⑤親知らず
親知らずが周りの歯に悪影響を与えるような生え方をしている場合、歯並びに悪影響を及ぼすことがあります。親知らずに圧迫されて徐々に周囲の歯が移動し、それに押し出される形で前歯に負担がかかり、行き場を失って前歯に傾斜が付く場合があるのです。親知らずは20代以降に生えてくることが多い歯なので、大人になってから突然出っ歯になるケースもあり得ます。
⑥歯周病
歯周病が進行した場合、歯がグラグラと動いてしまい、やがて前歯周辺の間隔が広がることがあります。このケースは少しずつ症状が進行するケースが多く、初期段階では出っ歯になり始めている事実に気付くことすらできません。しかし、最終的には唇を閉じられなくなるほど症状が進行する場合もあり、早期段階での治療が必要です。
出っ歯を放置するリスク
出っ歯は見た目だけの問題と考える人は多く、そのまま放置されることも多い問題です。しかし出っ歯による影響は見た目だけに止まらず、以下のようなリスクを高めます。
<出っ歯を放置するリスク>
- 見た目のコンプレックスになる
- 虫歯や歯周病になりやすい
- 口呼吸により健康に影響がでる
歯の健康を守るうえで大きなリスクも含まれます。3つのリスクをくわしく解説するので、どのような問題に見舞われる恐れがあるのかを正確に把握しておきましょう。
見た目のコンプレックスになる
出っ歯は見た目のコンプレックスにつながりやすい問題です。出っ歯が原因で口を開くことに苦手意識を持つと、人前で話すことが嫌になってしまうかもしれません。また、笑顔を見せることにも抵抗を感じると、自然と笑うことを避けてしまい、他人から暗いイメージを持たれる可能性もあります。
重症例の場合は、前歯が唇そのものを押し出してしまうため、口を閉じていても顔を見られたくないという意識が働くかもしれません。現在はコロナ禍によりマスクで口を隠せる状態であるものの、元の生活に戻ったあとに強いコンプレックスに悩まされる場合があります。
虫歯や歯周病になりやすい
出っ歯になると歯に段差が生まれやすく、歯ブラシを使った掃除がしにくくなります。この部分に歯垢や食べカスが残ったままの状態では、虫歯や歯周病を引き起こしやすくなるため注意しましょう。治療が遅れた場合、前歯を失ってしまう恐れすらあります。
また、虫歯によって歯並びが悪化するという悪循環に巻き込まれやすくなることにも要注意です。とくに子どもの場合「乳歯だから放っておいてよいだろう」と虫歯を軽く見ていると、将来の歯並びに大きな悪影響を及ぼしてしまいます。通常のペースよりも早く乳歯が抜けてしまうと、空いたスペースに歯が移動してしまい、歯並びを乱す原因になるのです。
口呼吸により健康に影響がでる
出っ歯になると歯が唇を前方に押し出すため、自然と口が開きやすくなり、鼻呼吸から口呼吸に変わるリスクがあります。口呼吸をすると口腔内が乾燥しやすくなるため、口臭が目立ちやすくなったり、唾液不足で虫歯にかかりやすくなったりなど、健康に悪影響がでるため注意しましょう。
口呼吸をすると、唇が前歯を押さえる圧力が失われてしまい、出っ歯が悪化する恐れもあります。さらに口呼吸をする人には舌先を下の前歯に押し当てる癖を持つ人も目立ち、上の前歯だけでなく、全体の歯列を乱すきっかけにもなるため要注意です。
出っ歯の矯正方法
出っ歯の矯正方法としておすすめできるのは以下の4つです。
<出っ歯の矯正方法>
- マウスピース矯正
- ワイヤー矯正
- 裏側矯正
- 【子どもの場合】顎の拡大
それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。
マウスピース矯正
マウスピース矯正は、透明なマウスピースを装着して歯に圧力をかける治療法です。
メリットは審美性が高いことで、治療している様子が目立ちません。また、後述するワイヤー矯正と比べて痛みが少ないこともメリットです。費用相場は全顎矯正で70~120万円程度となることが一般的で、保定期間を含めた治療期間は約4年が目安になります。
使用するマウスピースのブランドは多く、利用するブランドによって費用や期間が若干異なる点に注意しましょう。注意点は適用できる範囲が狭く、症例によっては治療ができないケースがあることです。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、ブラケットと呼ばれる矯正装置を歯の表面に取り付ける治療方法です。
マウスピース矯正と比べて強い圧力をかけられるため、適用できる症例を増やせます。また、後述する裏側矯正と比べて費用を抑えやすいこともメリットです。治療費の目安は60~100万円を見ておくとよいでしょう。治療にかかる期間は保定も含めると約4年間です。
欠点はメタル製でシルバーのワイヤーが口を開けたときに目立ってしまうこと、圧力が強いためマウスピース矯正よりも痛みや違和感を覚えやすいことです。また、自分で付け外しができず、歯とワイヤーの間が汚れやすくなる点にも注意しましょう。
裏側矯正
裏側矯正は、ワイヤー矯正で取り付けるワイヤーを歯の裏側に取り付ける目立たない治療法です。
移動させられる範囲がやや狭くなりますが、マウスピース矯正よりは多くの症例に適用でき、多くの人にとって利用可能な治療方法です。矯正装置を取り付けるのは歯の裏側だけなので、覗き込まれない限りは矯正装置の露出もありません。注意すべきなのは高度な技術力が必要となり、治療費がワイヤー矯正の2倍近くとなる110~180万円と高額なことです。治療期間に関して歯ワイヤー矯正とほぼ変わらず、約4年間を見ておくとよいでしょう。
【子どもの場合】顎の拡大
子どもの場合、顎を拡大させて歯が生えるスペースを確保する治療が有効です。
拡大装置にはさまざまなタイプがあり、症例によって使い分けられます。顎の拡大は乳歯のみ、もしくは乳歯と永久歯が混ざった「1期治療」で行われることが一般的です。拡大装置による治療費の目安は10~40万円程度と比較的安いものの、永久歯の生え方次第では大人の矯正と同じ「2期治療」が必要な場合があり、その場合は追加で約4年の治療期間を見込まなければなりません。
まとめ
出っ歯の原因は先天的なものだけでなく、後天的なものも含まれます。日常のちょっとした癖が出っ歯を招くこともあるため注意しましょう。出っ歯になると見た目だけでなく健康に悪影響を及ぼすこともあるため、マウスピース矯正などによる矯正治療をおすすめします。
大阪オルソは、女性専門の矯正歯科です。完全個室・減菌対策もばっちりで、治療を他人に見られたり、感染症を招いたりといったリスクを引き下げられます。裏側矯正・マウスピース矯正など目立たない治療法を複数提案可能なので、審美性にこだわりたい女性もぜひ当院をご利用ください。
著者:谷木俊夫