裏側矯正とは、歯の裏側に矯正装置をつけ、そこにワイヤーを通して圧をかけることで歯を動かしていく矯正治療方法です。一般的なワイヤー矯正は歯の表側にブラケットをつけるため、見た目が気になり敬遠する方も多くいらっしゃいますが、裏側矯正の場合はブラケットやワイヤーが見えづらいということが大きなメリットです。
この記事では、裏側矯正の種類やそれぞれのメリット、デメリットをよくある質問とともに詳しくご紹介します。
目次
裏側矯正とは
裏側矯正は1960年代に日本人歯科医師によって考案された「フジタメソッド」がもとになっている治療方法で、改良を重ね現在のような形になりました。歯の裏側(舌側)にブラケットとよばれる矯正装置をつけ、そこにワイヤーを通して圧をかけることで歯を動かしていく矯正治療方法です。リンガル矯正、舌側矯正ともいわれています。裏側矯正は一般的なワイヤー矯正よりも専門性と難易度の高い矯正方法であるため、治療を行える歯科医師も限られており、高い技術と経験を要する治療です。
裏側矯正の種類
裏側矯正には種類があるのをご存知でしょうか?裏側矯正には、上の歯は裏側から、舌の歯は表側から治療を行う「ハーフリンガル」と、上下ともに裏側から治療を行う「フルリンガル」の2種類があります。詳細を以下にご紹介していきます。
ハーフリンガル
ハーフリンガルは、表側矯正と裏側矯正を組み合わせて行う治療方法です。装置がより目立ちやすい上の歯のみを裏側に装置をつけ、下の歯は表側に装置をつけます。半分だけ裏側矯正を行う、ということからハーフリンガル矯正と呼ばれています。
フルリンガル
フルリンガルでは、上の歯も下の歯もどちらも裏側に矯正装置をつけます。したがって、お口を大きく開けない限りは装置が見えることもありません。
日本ではまだ欧米ほどには歯列矯正をする文化が浸透していません。そのため、装置の見た目の問題から矯正治療を敬遠なさる方もいらっしゃいます。フルリンガルであれば、装置の見た目をほとんど気にすることなく、矯正治療を進めていただくことが可能です。
それぞれの治療方法のメリットと、デメリットの解消法
ハーフリンガルとフルリンガルには、それぞれどのようなメリット・デメリットがあるのか、そしてデメリットの解消法を以下にご紹介していきます。
ハーフリンガルのメリット
ハーフリンガルの一番のメリットは、目立ちやすい上の歯の表側の装置がないため、見た目に大きく影響しないということです。また、歯の表側に矯正装置がついていると、装置そのものの厚みにより口元が気になることもありますが、上の歯の表側に装置がついていないハーフリンガルであればその点も解消されます。また、下の歯の裏側には装置がないため、舌に矯正装置があたって違和感を感じたりするようなことはなく、滑舌への影響も最小限に抑えることができます。さらに、ハーフリンガルであれば、フルリンガルよりも治療費を抑えることができるというメリットもあります。
ハーフリンガルのデメリットと解消法
下の歯の表側には装置がついているので、もとの歯並びや咬み合わせによっては装置が目立つこともあります。また、表側に装置がついていることにより、唇に多少の違和感はあります。
当院では、下の歯に使用する表側の装置は目立ちにくい白いセラミック製装置を使用しますので、装置の見た目が気になる方もご安心ください。ご希望の方には白いワイヤー(ホワイトワイヤー)で治療を進めることもできますので、お気軽にご相談ください。
フルリンガルのメリット
フルリンガルは上下ともに装置が表から見えません。したがって、見た目を気にすることなく矯正治療を進めていただくことができます。装置が表側にないので唇が傷ついたり、装置の厚みによって口元が出たりすることもありません。
また、矯正装置を歯の表面につけると歯磨きがしにくく、むし歯や歯周病のリスクが高くなる可能性が懸念されますが、歯の裏側は常に唾液が循環しているため(自浄作用)これらのリスクは軽減されます。このこともフルリンガルのメリットといえるでしょう。
フルリンガルのデメリットと解消法
歯の裏側に装置があることにより、装置をつけた直後は違和感を生じたり、舌が装置にあたって傷つくこともあります。通常、早ければ2~3日で違和感が軽減されてくるといわれているので、慣れるまではリラックスして過ごしましょう。発音や滑舌に影響が出ることもありますが、こちらはおおよそ1週間~1ヶ月程度で慣れる方がほとんどのようです。
よくある質問
裏側矯正でのよくある質問をご紹介します。
治療期間に違いはある?
一般的に、裏側矯正は表側からの矯正よりも時間がかかると言われています。しかし、当院では専門性の高い技術やこれまでの治療実績をもとに治療を行っているため、表側からの矯正治療と治療期間や仕上がりに差はありません。
途中で治療方法を変えられる?
前もって担当医とよく相談をしたうえで治療を開始したとしても、ハーフリンガルからフルリンガルへ変更したい、またはその逆といったご希望が出てくることもあるかと思います。当院では、治療開始後に表側から裏側、または裏側から表側へ装置をつけ替えることができます。表側から裏側に変える場合には治療費の差額をいただきますが、装置の撤去費用や再装着の費用はかかりませんので、お気軽にご相談ください。
ハーフリンガルとフルリンガル、どちらを選べばよい?
これまでご紹介してきたように、ハーフリンガルとフルリンガルにはそれぞれメリットやデメリットがあります。どちらの方法でも、治療期間や仕上がりには大きな違いはありませんので、装置の見た目やご予算からご自身に合った治療方法をお選びいただいています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?裏側矯正には2種類の方法があり、患者様に合う治療方法をお選びいただくことができます。裏側矯正が適応できる症例か、また、どの治療方法がベストかをご自身で判断することは難しい場合もありますので、少しでもご興味のある方はぜひ一度カウンセリングにお越しください。