矯正治療を検討する際に、気になる部分だけを治したいと思う方もいらっしゃるかもしれません。矯正治療にはお口の中全体の矯正治療をする「全顎矯正」と部分的に治療を行う「部分矯正」があります。この記事では、全顎矯正、裏側矯正それぞれのメリット、どのような人に向いているのかを詳しくご紹介します。

全顎矯正のメリット

　全顎矯正では、上下顎のすべての歯に装置をつけ、歯並びや噛み合わせを整えていきます。裏側矯正でお口全体の矯正治療を行うことにはどのようなメリットがあるのでしょうか。

見た目の歯並びが整う

　全顎矯正であれば、歯を動かす距離や方向にも制限がありません。お口全体の矯正治療を行うことで、見た目の歯並びにも大きな変化が期待できます。また、歯を動かすだけでなく根本の噛み合わせからしっかり治すことができるため、輪郭など顔全体の印象が変わる方もいらっしゃいます。歯並びや噛み合わせを気にすることなく思い切り笑えるようになる、コンプレックスが解消されて自信が持てるなど、心理的な面にもメリットがあります。

ほかの歯や顎への負担が軽減できる

　全顎矯正では、上下の歯が正しい位置関係で噛み合うように治療を進めていきます。そのため、特定の歯や顎の関節への負担もかからなくなり、口周り・顎周りの筋肉にも余計な力がかからなくなります。このことから、噛み合わせが原因となっていた肩こりや頭痛が軽減される方もいらっしゃいます。また、歯並びや噛み合わせが整うことで歯磨きもしやすくなり、むし歯や歯周病のリスクも低くなります。

ほとんど全ての症例に対応できる

　重度の出っ歯や反対咬合（受け口）があったとしても、全顎矯正ではほとんど全ての症例に対応が可能です。マウスピース矯正が難しいと診断された場合も、裏側矯正で装置を目立たせずに治療をすることもできます。特に、裏側矯正は歯を後ろに下げる動きを得意としているため、出っ歯や反対咬合の治療には向いていると言えるでしょう。

全顎矯正が向いているのはどのような人？

　最終的にどのような方法で治療を進めていくかを決めるにあたっては、精密検査や歯科医師による診断が必要です。お口の中全体の治療を行う全顎矯正は、どのような場合に適しているのでしょうか。

歯並びの凹凸が大きい人

　八重歯などの歯並びの凹凸（叢生）は、日本人に特に多い不正咬合であると言われています。大きく出ている八重歯など、歯並びの凹凸の程度が大きい場合には全顎矯正での治療が向いているといえるでしょう。

骨格が原因の不正咬合がある人

　不正咬合には、歯そのものの捻れや傾斜などによって生じる「歯槽性」のものと、顎の骨に起因する「骨格性」のものに分けられます。骨格性の不正咬合の場合は、歯槽性に比べて歯や顎の骨を大きく動かす必要があるため、全顎矯正が向いているでしょう。

当院の部分矯正のメリット

　当院では、気になる部分を重点的に治療する部分矯正にも対応しています。部分矯正というと歯並びの見た目しか治せない、というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、見た目の改善を重視しつつも、可能な限り噛み合わせも整えられるように配慮した部分矯正を行っています。

治療期間と費用を抑えられる

　全顎矯正では、治療に要する期間も長く、費用も高額になるため、なかなか治療を決断できないという方も少なくありません。部分矯正であれば、限られた時間やご予算の中で治療を進めていくので、比較的気軽に始めていただくことができます。

マウスピース矯正と組み合わせることもできる

　当院では様々な方法での矯正治療に対応しております。例えば、裏側からの部分矯正に加え、マウスピースでの部分矯正を組み合わせて治療を進めることもで、より良い治療結果を目指すこともできます。治療にかけられる費用や期間が限られている場合にも有効な方法なので、詳細はカウンセリングなどでご相談ください。

途中で全顎矯正への移行もできる

　部分矯正での治療を進めていく中で、「ここをもう少し治したい」「せっかくなら全顎矯正にもチャレンジしてみたい」などご要望が変化していく可能性もあります。当院では、ワイヤーでの部分矯正の場合は差額のみで全顎矯正に変更ができるので、追加の費用負担も最小限に抑えることができます。

部分矯正が向いているのはどのような人？

　このように様々なメリットもある裏側矯正ですが、全ての症例に対応できるとは限りません。詳細は、カウンセリングなどでお気軽にご相談ください。ここではどのような場合に部分矯正が向いているかをご紹介します。

前歯のみ軽度の凹凸がある人

　前歯の段差を整える、前歯の隙間を閉じるなど、軽度かつ限定的な範囲を治療したい場合に部分矯正は有効です。治療期間や費用を抑えながらも、見た目の変化に期待することができます。

1～2本だけ捻れや傾きがある人

　部分矯正では、1本～数本に対して矯正治療を行います。そのため、気になる歯を1本だけ治したいという場合にも対応可能です。ただし、状態によっては数本もしくはそれ以上の歯に装置をつける必要が出ることもあるため、詳しくは担当医にご相談ください。

部分矯正での注意点

　部分矯正では、半年程度で歯並びをある程度整えることができます。治療期間が短い分、その後のメインテナンスについてあまり注意されないこともありますが、部分矯正であっても後戻りを防ぐための保定期間は必要です。治療後は約2年間の保定期間が必要であるということは念頭に置いておきましょう。

まとめ

　いかがでしたでしょうか？今回は全顎矯正と部分矯正それぞれのメリット、どのような人に向いているかについてご紹介しました。全顎矯正は見た目の歯並びだけでなく噛み合わせから根本的に治療することで、より理想の口元に近づくことができます。そして、生涯にわたり歯やお口を健康に保つための土台作りに繋がります。

　どの治療方法が向いているかは、ご自身で判断することが難しい場合もあります。矯正治療に少しでもご興味のある方はぜひ一度カウンセリングにお越しください。