歯並びや噛み合わせの問題は、見た目の美しさだけでなく口腔内の健康や生活の質にも大きな影響を与える要因です。矯正治療にはいくつかの手段がありますが、その中でもインビザラインは透明なアライナーを使用することで目立たず快適な矯正治療を行うことができるため、多くの患者様に支持されています。
今回は、インビザラインで治療できる不正咬合の種類や、治療が難しいケースについて詳しく解説します。
目次
インビザラインとは
インビザラインは、透明なプラスチック素材でできたマウスピースを使用して歯並びを整える矯正治療の一つです。患者様お一人おひとりに合わせてオーダーメイドされたマウスピースを、1~2週間ごとに新しいものに交換しながら徐々に歯を動かしていきます。マウスピースは取り外しが可能であるため、食事や歯磨きの際には外して快適に生活を送ることができます。また、装着している間もほとんど目立たないため、周囲の目を気にすることなく矯正ができる点も大きなメリットです。
インビザラインは、従来の矯正治療と同じようにさまざまな不正咬合に対応できる柔軟な治療方法です。特に、軽度から中度の不正咬合の改善に効果が高いとされています。複雑な症例にも対応できる場合がありますが、治療可能な範囲は症例によって異なります。
歯並びや噛み合わせが悪いとはどういうこと?
歯並びや噛み合わせに問題があると、食事や発音に支障をきたすだけでなく歯磨きが難しくなり、むし歯や歯周病のリスクが高まります。さらに、顎関節症や頭痛、肩こりといった症状が現れることもあります。では、そもそも「正しい歯並び」とはどのような状態を指すのでしょうか?
正しい歯並びの基準
正しい歯並びの基準とは、上下の歯が均等に噛み合い、歯がまっすぐ整列している状態です。具体的には、上の前歯が下の前歯を1~2ミリ程度覆っており、奥歯同士がしっかり噛み合っていることが理想的です。また、歯が正しい位置に並んでいることで食事や会話がスムーズに行えるだけでなく、歯磨きもしやすく、口腔内を清潔に保つことができます。
不正咬合とは
一方、不正咬合とは、歯並びや噛み合わせが乱れている状態を指します。不正咬合は遺伝的な要因や、子どもの頃の指しゃぶりや舌の癖などが原因で引き起こされることが多い傾向にありますが、さまざまな種類があり、軽度なものから日常生活に支障をきたすものまであります。これらの不正咬合を適切に治療することで、機能的にも審美的にも大きな改善が期待できます。
インビザラインで治療できる不正咬合の種類の例
インビザラインは、さまざまな不正咬合を治療することができます。ここでは、具体的な治療可能な不正咬合の例を紹介します。
出っ歯(上顎前突)
出っ歯(上顎前突)は、上の前歯が下の前歯よりも大きく前に出ている状態です。この状態は見た目の問題だけでなく、前歯で物を噛み切るのが難しくなることがあります。インビザラインでは、上顎の歯を後ろに移動させることで前歯の突出を矯正し、自然な噛み合わせを取り戻すことができます。
受け口(下顎前突)
受け口(下顎前突)は、下の前歯が上の前歯よりも前に出ている状態です。受け口では噛む機能が正しく働かず、発音や顎の関節に負担がかかることがあります。軽度の受け口であれば、インビザラインで治療が可能です。歯の位置を調整して上下の歯が正しく噛み合うように治療を進めていきます。
叢生
叢生は、歯が重なり合って不規則に生えている状態を指します。顎のスペースが不足している場合に起こりやすく、歯磨きが難しいためむし歯や歯周病のリスクが高まります。インビザラインでは、歯列を徐々に整えていくことで、叢生を改善し、きれいな歯並びを取り戻すことが可能です。
開咬(オープンバイト)
開咬は、上下の前歯が噛み合わずに隙間ができている状態です。この状態では前歯で物を噛むのが難しく、発音にも影響が出ることがあります。インビザラインで前歯の位置を徐々に調整し、噛み合わせを正常に戻すことができます。
過蓋咬合(ディープバイト)
過蓋咬合は、上の前歯が下の前歯を大きく覆ってしまう状態です。この状態では下の前歯や歯茎に過度な負担がかかり、痛みや歯の損傷を引き起こすことがあります。インビザラインで上下の噛み合わせを調整して、過剰な被覆を改善することができます。
すきっ歯(空隙歯列)
すきっ歯は、歯と歯の間に大きな隙間ができる状態を指します。見た目の問題に加えて、隙間に食べ物が挟まりやすいことから、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
インビザラインで治療できない不正咬合の例
インビザラインは多くの不正咬合を治療できますが、すべての症例に対応できるわけではありません。例えば、極端に重度な骨格的問題を伴う不正咬合は、インビザラインだけでは改善が難しい場合があります。特に顎の位置そのものに大きなズレがあるケースや、外科的な治療が必要な場合は、インビザライン単独では効果が十分に得られません。
また、歯の移動が大きく必要な場合や複雑な噛み合わせの問題を抱えている場合は、ワイヤー矯正を検討することがあります。インビザラインは歯そのものの位置を調整することが得意ですが、骨格的な問題に対しては限界があるため、歯科医師とよく相談して治療方法を検討しましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?このように、インビザラインはさまざまな歯並びや噛み合わせの問題を改善することができます。特に軽度から中度の不正咬合に対して効果的で、目立たず快適な矯正治療ができる点が大きな魅力です。しかし、すべての不正咬合に対応できるわけではなく、重度の骨格的な問題がある場合には他の治療法が必要になることもあります。矯正治療を検討している方はまず専門医に相談し、自分に最適な治療方法を選びましょう。
当院では、治療経験豊富な歯科医師が患者様の様々なお悩みに合わせて最適な治療方法をご提案いたします。矯正治療にご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。