矯正治療をしたいと思っている方の中には、金属アレルギーをお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。「矯正治療で歯並びを綺麗にしたいけど、金属アレルギーがあるから心配」「金属アレルギーでもできる矯正治療ってないの？」など金属アレルギーの方は歯科治療に不安を持っている方が多いと思います。
目次
金属アレルギーとは
日本人の10人に1人は、金属アレルギーで悩んでいると言われています。
金属イオンに対して起こるアレルギー反応で、皮膚にかゆみや発疹などの症状が出ます。
指輪やネックレス、ベルトの金具などの金属に触れている部分がかゆくなる・赤くただれるといった症状がある方は金属アレルギーの可能性が高いです。
金属アレルギーは汗で金属が溶けてイオン化し、金属イオンが皮膚のたんぱく質と結合することで、身体がこれを異物と判断して免疫反応を起こします。
また金属アレルギーの中には「全身性金属皮膚炎」と呼ばれるものがあり、皮膚ではない部分から金属アレルギーの原因である金属が体内に入ることで全身にアレルギー症状が出ます。
これは金属が直接皮膚に触れることで生じる金属アレルギーではなく、口腔内の金属が唾液を介してイオン化し、体内に入ることで起こる接触性皮膚炎のことです。
金属アレルギーは後天的に発症するものです。特定の金属物質が体内に入ることで通常よりも過敏になり、再びその物質が体内に入った時に免疫が過剰反応を起こすようになり発症するのです。
金属アレルギーの原因物質とは？
原因物質は主に「水銀」「ニッケル」「クロム」「コバルト」「パラジウム」「銅」「錫（すず）」「亜鉛」「金」です。
特にニッケル、コバルト、クロムは三大原因金属とも呼ばれていて、汗に含まれる塩素イオンに反応してイオン化しやすく、体内で金属かぶれを起こしやすい物質です。
金属の中でも、純度の高い「チタン」や「ジルコニウム」「サージカルステンレス」「プラチナ」はイオン化しにくいという特徴があり、金属アレルギーを引き起こしにくい金属だと言われています。
歯科治療における金属アレルギーの問題
従来の矯正装置には、ブラケットやワイヤーに金属が使われています。金属アレルギーの方にとっては、この金属が直接口腔内に触れることでアレルギー反応が出る可能性があります。これが矯正治療をためらう大きな理由の一つとなっています。
また歯科治療の被せ物が原因となって金属アレルギーを引き起こしている場合があります。代表的なのがパラジウム合金でできている銀歯や、矯正器具に使用される金属のワイヤーなどが挙げられます。
金属アレルギーの方の口腔内に銀歯などの金属が入っていると、口内炎・唇の腫れ・舌炎・発疹・かゆみ、赤みなどを引き起こし、まれに味覚障害が現れることもあります。
これまで金属アレルギーの症状がなかった方でも、突然金属アレルギーを発症した、というケースはあります。
心配な方は、矯正治療を始める前にアレルギー検査を受けることをお勧めします。
インビザラインとは？
インビザラインは、取り外しのできるマウスピース型の矯正装置です。この矯正方法だとマウスピースが透明なので装着していても気付かれにくく、見た目を気にする方にとって非常に魅力的な矯正方法です。ワイヤー矯正は固定式なので歯に装置がついているため食事制限があったり、歯磨きがしにくいなどの面がありますが、インビザラインは着脱可能なので食事も歯磨きも普段通り行えます。
インビザラインは金属を一切使用しないため、金属アレルギーの方にとっては安心して行える矯正治療の方法と言えます。
インビザラインの特徴
・装置が目立ちにくい
透明で薄いマウスピースを使用するので、金属のワイヤー矯正のように周りの目を気にすることなく歯並びを整えることができます。
・自分で取り外しができる
ワイヤー矯正ですと固定されているため自分で取り外すことができませんが、食事や歯磨きの時にはマウスピースを取り外せるので普段通りに生活できます。
・事前にシュミレーションで確認できる
治療開始から終了までの細かいシュミレーションを行うことができるので、歯がどのように動くかを事前に確認できてイメージしやすいです。
・金属アレルギーの心配がない
金属を使用しない矯正方法なので金属アレルギーの方はもちろん、今はまだ金属アレルギーではないけど将来的に金属アレルギーになることが心配という方でも安心していただけます。
金属アレルギーを持つ患者様へのカウンセリング
金属アレルギーの方が矯正治療を受ける際には、事前のカウンセリングが非常に重要です。歯科医師としっかりとコミュニケーションをとって、アレルギーの程度や過去のアレルギー反応の履歴を詳しく話し合うことが大切です。これにより最適な治療法を選択するための基礎を築くことができます。
まとめ
矯正治療を始める決断には勇気が必要です。特に金属アレルギーがある方にとって歯科治療は心配な面が多いと思います。
インビザラインは比較的新しい矯正治療の方法で、これまで金属アレルギーがあるから歯列矯正ができないと諦めていた方にとっては画期的な歯列矯正です。
インビザラインで使用するマウスピースは、金属を一切使用せず「歯科用プラスチック」でできているため、金属アレルギーの方でも安心して治療を受けられます。
金属アレルギーの方や金属アレルギーが心配な方が矯正治療を検討する場合は、ワイヤー矯正よりもインビザラインを検討するといいでしょう。
矯正治療を考えている方は、「適切な素材の選択」「事前のアレルギーテスト」「丁寧なカウンセリング」この3つのポイントをおさえた上で歯科医師に相談し、ご自分に合った治療法を見つけましょう。
金属アレルギーについて心配なことや疑問がある場合は、遠慮せずに当院にご相談ください。最適な治療法をご提案いたします。
