皆様こんにちは、寒い日が続きますが風邪などひかれていませんか?
風邪をひいてしまい、免疫力が落ちると、これまで何ともなかったところがうずくことがあります。
頭の一部が出てきている「親知らず」がその典型です。私も昔「親知らず」で苦労した経験があります。
今回は智歯周囲炎や矯正治療後の後戻りの原因になる「親知らず」について解説したいと思います。
人間には上下左右に8本ずつ合計32本の歯があります。そのうちの上下左右の一番奥の歯を第三大臼歯といい、親知らず、智歯とも呼ばれています。なぜ親知らずと呼ばれるかというと色々な説がありますが、成人してからはえてくるため、また親がはえたことを知らないからというのが一般的です。英語ではwisdom toothといい、物事の分別がついたころにはえてくるという意味なので、直訳すると知歯となります。第三大臼歯は昔に比べてはえる時期が遅くなり、また退化傾向にあります。したがって現代人の親知らずは小さかったり、はえてこなかったり、元々なかったりすることが珍しくありません。古代の人々は現代人よりはるかに硬いものを食べていたため32本の歯を総動員していました。人類は火を使うようになり、食べ物を柔らかくするすべを知ったために、食べ物を以前のように咬む必要がなくなりました。しかもかつての日本食の玄米や雑穀、根菜類も欧米化の影響でハンバーグやカレーにとって代わり、ますます顎と歯を使う頻度は減っています。いまや親知らずは必要がなくなりつつあるということなのです。
私たち矯正歯科医師にとって親知らずは他の歯を動かす際の妨げになったり、治療後に手前の歯を押してきたりすることがあるので退化傾向なのは大歓迎です。例外として親知らず以外の臼歯が虫歯でぼろぼろの場合には、虫歯の歯を抜いて代わりに親知らずを並べてあげるといったことはありますが、ごく稀です。もし親知らずの抜歯が必要だと診断された方がいらっしゃいましたら大変だとは思いますが、現代生活ではあってもあまりいいことはありませんので頑張って抜いてきて下さいね。