近年「目立たない矯正」としてマウスピース矯正を希望する方が増えています。しかし、従来のワイヤー矯正と比較して、どちらが自分に合っているのかわからない方も多いのではないでしょうか。
歯列矯正は一度始めると長い付き合いになるため、じっくり検討してから自分に合ったものを選びたいですよね。
そこで本記事では、ワイヤー矯正のデメリット・メリットについて、マウスピース矯正と比較しながら解説します。ワイヤー矯正とマウスピース矯正、どちらにすべきか悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
目次
ワイヤー矯正とはどんな矯正方法?
ワイヤー矯正は、固定式のブラケットと呼ばれる装置を付けて、その間にワイヤーを通して矯正力をかける矯正治療法です。「矯正治療」といえば、このワイヤー矯正を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
ワイヤー矯正は長く使われている治療法であり、さまざまな症例に適用できる点が最大のメリットです。
装置のブラケットには、金属製のメタルブラケットと、セラミック・プラスチックなどの審美ブラケットがあります。ワイヤーもメタルタイプと、メタルを白くコーティングしたホワイトワイヤーがあります。
マウスピース矯正との違いは?
マウスピース矯正は、ワイヤー矯正のような固定式のブラケットやワイヤーを使わず、透明なマウスピースをはめ込んで行う矯正治療法です。矯正治療中の見た目を気にする方が、「目立ちにくい」「バレない」ことを目的に希望するケースが多いです。
マウスピース矯正は、自分の歯型から作成した専用のマウスピースを段階ごとに交換しながら歯を動かしていきます。無色透明であるため、歯列矯正をしていることが周りにバレにくいことが特徴です。またマウスピースの厚さは0.5ミリほどのため、付けていてもあまり違和感を覚えません。
ワイヤー矯正とは異なり、自分で取り外すことができる点も人気を集めている理由の一つです。また汚れたら自分で洗浄できるため、いつでも清潔に保てる点も魅力です。
ワイヤー矯正の5つのデメリット
歯列矯正にはさまざまな装置がありますが、最もポピュラーなワイヤー矯正にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。メリットだけでなく、デメリットやリスクも知っておけば、適切な判断を行う材料となりますのでぜひ確認しておきましょう。
ワイヤー矯正のデメリットは以下の5点です。
- 痛みが伴うことがある
- 歯磨きがしにくい
- 装置が目立つ(表側装置の場合)
- 装置が外れてしまう可能性がある
- 取り外しができない
それでは、ワイヤー矯正のデメリットについてわかりやすく解説します。
➀痛みが伴うことがある
ワイヤー矯正では、装置を初めて付けたときに痛みや違和感を感じ易いです。人によっては、歯が浮いているように感じることもあるでしょう。マウスピース矯正よりも痛みが出やすいですが、1~2週間で自然と収まってきます。
また毎月調整を行いますが、その後にも2~3日程度も痛みが出ることがあります。食事の際に歯が当たるだけでも痛いと感じる方も少なくありません。そのため、調整後はおかゆやうどんなどの柔らかい食事を取るようにするといいでしょう。我慢が難しいようであれば痛み止めを服用すると楽になります。
➁歯磨きがしにくい
ワイヤーを歯に固定するため、矯正前と比べて歯磨きがしにくくなります。これまでと同じ歯ブラシでは、磨きにくいと感じるケースがほとんどです。一方、マウスピース矯正では食事の際は装置を取り外すので、それまでと同じように歯磨きができます。
ワイヤー矯正を行う場合、医院で矯正中の歯磨き方法などの指導を受け、歯磨きのコツを掴むことが大切です。ワンタフトブラシなどのヘッドが小さいブラシは磨きやすく、ブラケットに付いた汚れも落としやすいのでおすすめです。
➂装置が目立つ(表側装置の場合)
ワイヤー矯正では、歯の表面にブラケットを付けるため、装置が目立ってしまいます。目立ちにくい透明のクリアブラケットやホワイトワイヤーもありますが、オプションとして別途費用を追加する必要がある医院がほとんどですので、コストを抑えたいときには難しいかもしれません。
マウスピース矯正では、使用するマウスピースが無色透明で厚さも0.5ミリほどなので、近くで見ないとわからないほど目立ちにくいです。
➃装置が外れてしまう可能性がある
ワイヤー矯正のブラケットは、硬いものを食べたり強い衝撃を受けたりすると外れてしまうことがあります。外れたブラケットは自宅では装着できないので、医院に行って早めに付け直してもらう必要があります。
マウスピース矯正は自分の意思で取り外しができるため、装置が外れる心配はありません。ただし、マウスピースが欠けたり割れたりした場合は、そのまま装着すると口を傷つけてしまったり歯が動かない可能性があるため、医院へ連絡しましょう。
➄取り外しができない
ワイヤー矯正は基本的に一度装置を付けると、矯正治療が終わるまで取り外せません。装置の交換や治療法によって例外はありますが、マウスピース矯正と違っていつでも取り外しができないのです。
また、ワイヤー矯正はえのきやほうれん草、ゴマ、白菜など、粒や繊維のある食べ物が詰まりやすくなります。爪楊枝などで取り除こうとすると、ブラケットが外れる可能性もありますので気を付けてください。うがいをすれば簡単に取れることがほとんどですので、こちらがおすすめです。
ワイヤー矯正の5つのメリット
ここまでは、ワイヤー矯正のデメリットをお伝えしました。デメリットだけを見るとあまり良くない印象を受けますが、ワイヤー矯正はたくさんのメリットがある矯正方法です。メリットも知った上で、ワイヤー矯正にすべきかどうか判断しましょう。
ワイヤー矯正のメリットは以下の5点です。
- 適用範囲が広い
- 細かな調整ができる
- 取り外しがなく管理がしやすい
- 治療期間が短い
- 症例数が多い
それでは、ワイヤー矯正のメリットをわかりやすく解説します。
➀適用範囲が広い
ワイヤー矯正の中でも、表側矯正は適用範囲が最も広い矯正方法です。ケースバイケースですが、抜歯が必要な症例や、外科手術を伴う症例にも適用されます。
歯並びの矯正だけでなく、口元や横顔の印象が変わるような矯正も可能な点がワイヤー矯正の大きなメリットといえるでしょう。また、ワイヤー矯正は過蓋咬合(かみしめた状態で、上の前歯が下の前歯に大きく覆いかぶさっている状態)など、歯並びだけではなく咬み合わせ異常の症例にも適用されることが多いです。
一方、マウスピース矯正では重度のガタガタや抜歯を伴う症例など、歯を動かす量が多いものは適用されないことがあります。そのため、骨格に異常のある症例には向きません。
➁細かな調整ができる
ワイヤー矯正は、医師の判断でその都度細かな調節ができるのも魅力です。レントゲン写真で歯の向きや歯根の状態を確認したり、咬み合わせなどの調整をしたりといった対応も可能です。
必要に応じてブラケットを付け直して、段階に応じてワイヤーの太さを変えながら、理想的で機能的な歯並びへ調整していきます。
1か月に一度医師が確認しながら調整を行うので、万が一歯に異常が起きていても発見しやすいです。その点、マウスピース矯正の場合、通院は2~3か月に一度のため異常の発見が遅れてしまうリスクもやや高いといえるでしょう。
➂取り外しがなく管理がしやすい
先ほど装置を自分で取り外せないことをデメリットとしてお伝えしましたが、裏を返せば付け外しするのが手間に感じる方には管理が楽であるメリットにもなります。
また食事のたびに取り外す必要がないので、装置の紛失や付け忘れの心配がありません。マウスピース矯正は「自分で矯正装置を管理して治療する」側面が強いため、そういった部分でも専門家である医師に任せられるワイヤー矯正は安心できるといえるでしょう。
➃治療期間が短い
ワイヤー矯正はマウスピース矯正に比べて移動速度が速いといわれています。マウスピース矯正では、8割の方が治療途中でマウスピースを作り直すため、治療期間が延びてしまうケースが多いです。
新しく登場したセルフライゲーションブラケットをワイヤー矯正に使用すると、ブラケットとワイヤーの摩擦力が減るため効率的に歯を移動させることができます。さらに軽い負荷での移動が可能なため、痛みが少ないこともメリットです。
➄症例数が多い
ワイヤー矯正は先ほどもお伝えしたように、矯正治療の中で最も歴史が長い治療法です。そのことから、豊富な治療実績と様々な研究結果に基づいた治療法が確立されています。
これまでに数多くの患者さんに適用してきた矯正治療法ですので、矯正中のトラブルなども事前に予測できることが多いと言われています。
まとめ
ワイヤー矯正のデメリット・メリットについて解説しました。ワイヤー矯正は実績が豊富な治療法ではありますが、見た目の問題や取り外しができないことから、治療を躊躇される方も多いでしょう。
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著者:谷木俊夫