「歯並びをきれいに整えたい」「口元のコンプレックスを解消したい」と思う一方で「できれば目立たない方法でしたい」「痛みや費用が心配」と悩んでいる方が多いのではないでしょうか。装置の見た目や痛み、費用に関して気になることがあるでしょう。
しかし、実は歯列矯正は目立つ装置だけでなく、目立ちにくい「裏側矯正」というものがあることをご存じでしょうか。
今回は、目立ちにくい裏側矯正のメリット・デメリットについて解説します。痛みや費用に関する疑問も解決できる内容になっているため、歯列矯正を検討している方、裏側矯正を検討している方はぜひ参考にしてください。
目次
裏側矯正(舌側矯正)とは?
裏側矯正とは、ワイヤー矯正の種類のひとつで、舌側矯正やリンガル矯正と呼ばれることもあります。ブラケットと呼ばれる装置を歯の裏側に取りつけ、その間にワイヤーを通して矯正力をかけます。一般的な表側矯正の裏側バージョンと考えるとわかりやすいでしょう。
正面から見た際に目立ちやすい上の歯だけを裏側矯正にする「ハーフリンガル矯正」というものもあり、それぞれの症例や予算にあわせて使い分けることも可能です。
表側矯正とは?
表側矯正とは、歯の表側に装置を取りつけて矯正力をかける矯正方法です。「歯列矯正」と聞くと最初に思い浮かべる方が多い、もっともポピュラーな矯正方法でしょう。歯の表側に装置を取りつけるため目立ちやすく、周囲の人からも歯列矯正していることがバレやすい矯正法です。
しかし、表側のワイヤー矯正は歴史が古く、これまでにさまざまな研究がされてきた安心できる治療法であるといえます。適用できる症例の幅が広いことが特徴として挙げられます。
マウスピース矯正とは?
マウスピース矯正は、透明のマウスピースを用いた矯正方法です。段階ごとに形の異なるマウスピースを交換しながら歯を動かし、必要に応じて歯にアタッチメントの取りつけや歯科用ゴムを使用して矯正力を高めます。
マウスピースは透明で薄いため装置が目立ちにくいことから、歯列矯正中の見た目を気にする方からの需要が高まっています。また、マウスピースは自分で取り外せるため、大事な記念撮影時やイベント時など、短時間であれば取り外せることも人気の理由に挙げられるでしょう。
裏側矯正(舌側矯正)のデメリット5つ
裏側矯正は、装置の歯の裏側に取りつけるためほとんど見えないというメリットがありますが、いくつかのデメリットも存在します。メリット・デメリットをしっかりと把握した上で、矯正方法を選ぶようにしましょう。
裏側矯正のデメリットは、具体的に以下のようなものが挙げられます。
- 治療費が高い
- 違和感がある
- 食事・会話がしづらい
- 歯が磨きにくい
- 「痛い」と感じることがある
では、それぞれくわしく解説します。
治療費が高い
裏側矯正は周囲の人から気づかれにくい装置でありますが、医師からも見えにくい場所に装置をつけるため、さらに装置間距離が短いため調整には高度な技術が必要です。また、歯の裏側は表側よりも形状が複雑なので、オーダーメイドの装置を作成するのに費用がかさみます。
そのため、表側矯正よりも数十万ほど費用を高めに設定している医院がほとんどです。ただし、費用に関してはデンタルローンや分割払いに対応している医院を探し、治療費の支払い負担を軽減させる方法もあります。どのような支払い方法があるのか、矯正治療を始める前に確認してみましょう。
違和感がある
歯の裏側に装置をつけるため舌があたり、違和感を感じることがあります。舌先が装置にあたり続けることで、口内炎や痛みが出ることもあるでしょう。
しかし、矯正装置の違和感については、時間の経過とともに慣れることがほとんどです。1週間もすれば舌や唇が順応するので、過度な心配は必要ないでしょう。
食事・会話がしづらい
歯の裏側に装置がつくことで、口のなかのスペースが狭くなります。そのため、食事の際は食べ物を一度に口に含められる量が少なくなります。また、繊維の多い食べ物は装置に詰まりやすいため、慣れるまでは気軽に食事を楽しめないといったストレスを感じる方もいるでしょう。
さらに、これまでなかった装置が舌に触れるようになり、会話や発音がしづらくなることもあります。慣れてくればこれまでどおり話せるようになりますが、アナウンサーや外国語の先生など発音が大切な職業の方は、大きな影響を受けるかもしれません。医師に相談してアドバイスなどを受けるようにしましょう。
歯が磨きにくい
裏側矯正に限らず、マウスピース矯正のように取り外せないワイヤー矯正は歯が磨きにくいことがデメリットに挙げられます。とくに、歯の裏側は装置がついていなくても確認しづらい部位です。矯正装置がつくことで、さらに歯が磨きにくくなり、磨き残しが多くなってしまいます。
日ごろの歯磨きは丁寧に行うよう心掛け、歯ブラシの他にも歯間ブラシやタフトブラシ、デンタルフロスを併用しましょう。磨きにくい部分は、調整のタイミングで医師や歯科衛生士に確認してもらうと安心でしょう。
「痛い」と感じることがある
裏側矯正に限らず矯正治療では装置をはじめてつけた日から数日間と、調整を行った日から数日間は歯に痛みが出ることがあります。調整後の歯を積極的に動かしている期間は痛みが出やすいですが、1週間ほどで治まることがほとんどです。我慢できない場合は、口元を冷やしたり(削除)痛み止めを飲んで様子を見ましょう。
他にも、装置が舌にあたって痛みが出ることもあります。この場合は、装置が舌にあたらないようワックスなどのカバーをつけるなどの処置が必要です。しばらく様子を見てもよくならない場合には、医院へ連絡して確認してもらいましょう。
裏側矯正(舌側矯正)のメリット3つ
ここまでは裏側矯正に関するデメリットについて解説しました。では、具体的なメリットにはどのようなことが挙げられるのでしょうか。ここでは、裏側矯正のメリットについて解説します。
裏側矯正のメリットには、以下のようなものが挙げられます。
- 目立ちにくい
- 舌の癖の予防になる
- 前歯の矯正がやりやすい
では、それぞれくわしく解説します。
目立ちにくい
表側のワイヤー矯正はもっともポピュラーな矯正方法ですが、どうしても装置が目立ってしまうことがデメリットとして挙げられます。しかし、裏側矯正では、歯の裏側に装置を取りつけるため、大きな口を開けている際に除き込まれない限り周囲の人から装置が見えることはありません。
ただし、奥歯の見えない部分は、表側に装置をつけることもあります。大きく目立つことはありませんが、どうしても心配な方は、事前に医師へ相談しておきましょう。裏側矯正は、これまで矯正装置の見た目がネックとなり歯列矯正を迷っていた方でも、挑戦しやすい矯正方法であるといえるのではないでしょうか。
舌の癖の予防になる
装置が歯の裏側に装着されることで、舌の位置が変わり舌の癖の予防や改善につながることがあります。矯正装置が歯の裏側全体についていることで、舌で歯を押せなくなるため自然に舌の癖が多少改善されることが期待できるでしょう。
舌の癖は歯並びを悪くする原因のひとつであるため、改善のためにトレーニングを受ける必要がある方もいます。裏側矯正によって改善されれば、わざわざトレーニングを受ける必要がなくなります。また、舌の癖が改善されることによって、矯正治療が終わったあとに舌の癖が原因の後戻りリスクを減らすことにもつながるでしょう。
前歯の矯正がやりやすい
前歯が前方に傾斜している歯並び(出っ歯)は、一部の歯を抜いて空いたスペース分、前歯を後ろに引っ込めるケースがあります。その際に、奥歯を固定源にして前歯を引き下げるのですが、表側矯正だと反作用で歯が前に移動してしまうケースが少なくありません。
一方で、裏側矯正は奥歯を固定源にして歯を後方へ引き込んでいくことを得意としているため、前歯の後方への移動が比較的スムーズです。出っ歯や口ゴボ(口元が突き出ているように見える状態)でお悩みの方は、カウンセリングで裏側矯正について相談してみてもよいかもしれません。
裏側矯正(舌側矯正)のデメリットが気になる人はマウスピース矯正がおすすめ
裏側矯正のメリット・デメリットについて解説しました。しかし、デメリットに挙げた痛みや食事のしづらさなどが気になる方も多いのではないでしょうか。さまざまなメリットも得られる裏側矯正ですが、デメリットがネックとなり歯列矯正を踏みとどまっているのであれば、マウスピース矯正がおすすめです。
マウスピース矯正の特徴やメリットは以下のようなものが挙げられます。
- 透明なマウスピースは目立ちにくく取り外しも可能
- これまでどおりの食事や歯磨きができる
- 少しずつ歯を動かすため痛みが少ない
装置の見た目を気にされる方でも挑戦しやすく、歯磨きの際は取り外すので清掃性にも優れています。また、食事中も装置を取り外すので、ワイヤー矯正のように食べ物が装置に詰まることがなく、これまで通りのように食事を楽しめるでしょう。
ただし、マウスピース矯正は適用できない症例があるため、すべての方が受けられる治療法ではありません。マウスピース矯正について詳しい内容が気になる方は、歯科医院でカウンセリングを受けるようにしましょう。
まとめ
裏側矯正のメリット・デメリットについて解説しました。痛みをまったく感じずに歯列矯正を行うことは難しいですが、なるべく抑えながら歯を動かすことは可能です。痛みに敏感、費用を抑えたい、目立たない方法で歯列矯正を考えている方は、マウスピース矯正もご検討ください。
大阪オルソでは、女性専用の装置が目立たない歯列矯正に特化した歯科医院です。全ての診療室、カウンセリングルームが完全個室で、プライバシーや院内感染に配慮した空間です。矯正装置の見た目の問題で治療を躊躇されていた方、矯正方法で迷いがある方は、大阪オルソへお気軽にお問い合わせくださいませ。
著者:谷木俊夫