IPRとは
「Interproximal Enamel Reduction」の略で、歯と歯の間を歯に影響がない範囲で削り、歯の大きさや形態を修正したりする処置のことです。ディスキング、ストリッピング、スライシングと呼ばれることもあり、矯正歯科や小児歯科で一般的に行われています。小児歯科では歯の生え変わりの時期に乳歯をIPRにより小さくすることで、永久歯が生えるスペースを確保し、転移(本来とは違った場所に歯が生えること)を防ぐためなどに行います。
当院では上下の歯の大きさのバランスが悪い場合や、ブラックトライアングル(歯茎の高さや歯の形態に起因する歯と歯の間にできる隙間)が目立つ場合などに処置を行なっています。
方法
専用の器具を使い、歯の表面の硬い組織(エナメル質)を削る量を精密にコントロールします。エナメル質の厚さは約1~2mmで、IPRで削るのは約0.2mm~0.5mmですので、エナメル質の厚みの3分の1以下となります。
リスク
過去の研究結果からIPRが原因でむし歯になりやすくなるという報告はありません。反対にIPRされた歯面は再石灰化を引き起こし、むし歯に対して3倍も強くなるという報告もあります。
こだわり
IPRは安全な処置ですが、当院では歯を必要以上に削ることがないように細心の注意を払っています。したがって、IPRの際には削る量を精密にコントロールできる専用の器具を使用して少しずつ時間をかけて行います。またIPR後には角を丸めたり、表面を滑らかにしたりする研磨もしっかりと行うようにしています。なお処置の際に麻酔は必要ありませんし、歯の痛みはありませんのでご安心ください。