インビザライン矯正は、ワイヤーやブラケットを用いる従来の歯列矯正治療とは異なり、プラスチック製の透明なマウスピースを装着することにより歯列矯正を行う治療方法です。
この記事では、インビザラインでのマウスピースの装着時間について、さらに装着時間不足や装着忘れを防ぐための対処法を詳しくご紹介します。
目次
インビザラインとは
インビザラインは、1997年にアメリカで開発され、2006年に日本に上陸した新しい矯正治療です。
インビザライン矯正は、ワイヤーやブラケットを用いる従来の歯列矯正治療とは異なり、プラスチック(ポリウレタン)製の透明なマウスピースを装着することにより歯列矯正を行う治療方法です。
専用ソフトで必要な歯の移動シミュレーションを作成し、1装置で歯が約0.25mm動かすアライナー(マウスピース)を作製し、治療計画に沿って段階的に新しいアライナーに交換をしながら、徐々に歯並びを整えていきます。
インビザラインでの1日の装着時間と歯の移動量
インビザラインでは、クリンチェック(3Dシミュレーションソフト)により歯を移動するシミュレーションを作成します。
さらに歯の動きを歯牙移動表(歯1本1本の移動方向や移動量が計測された一覧表)で確認することより、効率的で安全性の高い治療計画を作成します。では、実際に作製したマウスピースはどのくらいの時間装着する必要があるのでしょうか?
①インビザラインの1日の装着時間目安
基本的には、インビザラインのアライナー(マウスピース)は1日20時間~22時間装着することが必要といわれています。
つまり、1日のうち食事をとる時と歯磨きをする時以外の時間は全て、アライナーを装着していなければならないということです。
②インビザラインの1日あたりの歯の移動量
インビザラインのアライナー(マウスピース)は、1枚を1週間使用します。その1週間で、最大0.25mmほど歯が移動します。
つまり、単純に日割りすると、1日あたり0.036mmほど歯が移動する計算になります。
1日あたりは見た目には分からないくらいの移動距離ですが、毎日少しずつ歯は動いているのですね。
インビザラインの装着時間が不足するとどうなる?
インビザラインは1日のうちのほとんどの時間でアライナーを装着している必要がありますが、もしこれが守れなかった場合、どのような影響が生じるのでしょうか?
①治療計画への影響
インビザラインの1日あたりの歯の移動量は最大0.036mmですが、付け忘れが1日程度であれば、治療計画にさほど大きく影響することはないでしょう。
しかし、付け忘れが何日も続くと、歯の移動量不足が蓄積するため、当初の治療計画の通りに治療を進めることができなくなる可能性があります。
②アライナー適合状態への影響
インビザラインの治療計画はコンピューター上のシミュレーションにより綿密に立案されており、アライナー(マウスピース)も歯にしっかりフィットするように作られています。
そのため、アライナーの装着時間が不足すると歯の移動量も不足するため、アライナーの交換時期になっても想定された歯列になっていない可能性が生じます。
そのため、アライナーを交換してもしっかり適合せず、場合によっては装着できなくなることもあります。
③歯への影響
歯列矯正の基本は、歯に「弱い力」を「継続的」に与え続けることです。
歯に強い力を加えてしまうと、かえって歯が移動しなかったり、歯根吸収が生じたりするリスクがあります。
これは従来のワイヤー矯正であってもインビザラインであっても同じです。
アライナー(マウスピース)の装着時間が足りないまま次のアライナーに交換してしまうと、歯の移動距離が長くなるため、計画以上の力が歯にかかってしまうことになります。
また、アライナーを装着していない時間が長く続くと、歯は矯正前のもとの位置に戻ろうとして「後戻り」を起こす可能性もあります。
④装着時間が不足した時の対処法
長時間の会食や外出時の装着忘れなど、アライナー(マウスピース)の装着時間が守れなかったときはどのようにしたらよいでしょうか?
もしアライナーの装着時間が何時間も不足している場合は、治療計画通りに歯が移動していないことが考えられます。
そのため、次のマウスピースに交換する時期を少し延ばし、現行のアライナーの使用期間を延長することも対処法の一つです。
また、そのような場合、治療計画への影響の有無を歯科医師が診断する必要があります。
そのため、早めに主治医に連絡をして判断を仰ぎましょう。
インビザラインの装着忘れを防ぐには
では、アライナー(マウスピース)の装着を忘れないためにはどのようにしたらよいでしょうか?装着時間不足を予防する方法をご紹介します。
1. 規則正しい生活を心がける
インビザラインでは、1日のうち食事をとる時と歯磨きをする時以外の時間は全て、アライナー(マウスピース)を装着していなければなりません。
そのため、食事や歯磨きの時間をなるべく決めておくことが、アライナーの付け忘れを防ぐことにつながります。
2. スマートフォンの活用
最近では、インビザライン用のスマートフォンアプリなども登場しています。
アプリのリマインダー機能を設定しておくと、指定された日時に自動的に通知が届きます。
アライナー(マウスピース)装着時間不足を防ぐために、これらのツールも効果的に活用していきましょう。
3. 交換用アライナーの活用
旅行など長時間外出する場合は、次の段階のアライナー(マウスピース)だけでなく、1つ前のアライナーも予備として持参するようにしましょう。
万が一旅行先でアライナーを紛失した場合にも、何も装着していない期間をつくらないようにするためです。
もし紛失したアライナーが終わりに近ければ次のアライナーに、まだ使い始めて間もない場合はひとつ前のアライナーに戻るようにしましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?インビザラインはアライナー(マウスピース)の装着時間をしっかり守ることがとても大切で、治療を計画的に進めるために欠かせません。
まずはご自身のライフスタイルがインビザラインに向いているかを検討してから、治療を開始することをお勧めいたします。
場合によっては、インビザライン以外の治療方法が適していることもありますので、担当歯科医師と相談しながら最適な方法を見つけていきましょう。
もし不安なことやご不明な点がありましたら、当院にお気軽にご相談ください。