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歯列矯正における小臼歯抜歯のメリットとデメリット

歯列矯正を行うために小臼歯を抜歯する場合があります。
健康な歯を抜くことには抵抗がある方も多いかと思います。
しかしながら抜歯をすることで他の歯のカリエスリスクを軽減したり、咬合負担を減らしたりすることができる場合もあり、デメリットに比べてメリットが大きいこともあります。

小臼歯抜歯が必要か不必要かは様々な診断基準があり、以前のブログにもこちらについて触れている部分がありますのでもしよろしければお読みください。

今回のブログでは抜歯を伴う歯列矯正のメリットとデメリットについてリストにしてみました。

メリット

① 顎が小さく歯を並べる隙間が足りない場合に無理なく歯を並べることができる

歯は顎の骨の中に植立する必要があります。
スペースが足りないにもかかわらず歯を無理に並べる治療をしてしまうと、歯の根が骨の中から外に出てくるような動きをしてしまい、歯茎が下がったり歯の根が短くなったりするリスクがあります。
歯を並べるスペースを作るためには奥歯の後方への移動(親知らずの抜歯が必要になります。)や歯列弓の幅を拡大する方法がありますが、これらの方法ではあまり大きなスペースを確保することが難しく、小臼歯を抜歯する必要があるケースがあります。

② 抜歯スペースを使って前歯を後方に移動して口元を引っ込めることができる

前歯を後方に移動するためには、移動するための隙間が必要です。
奥歯の後方への移動やIPR(歯と歯の間を少しずつ削る方法)、歯列弓の拡大などの方法もありますが、これらの方法ではあまり大きなスペースを確保できないため前歯の後方への移動量は限定的です。
大きく前歯を後方に移動する必要がある場合には小臼歯を抜歯して、歯科矯正用アンカースクリューで奥歯を固定して、前歯を後方へ牽引します。抜歯とアンカースクリューを併用することで前歯を7ミリ程度後方へ移行することも可能です。

③ 治療期間を短縮できる場合がある

歯の重なりが大きい症例では抜歯をすることで歯を並べるためのスペースが十分に確保することができ、歯が抜歯スペースへと自然と動きやすく、治療期間が短い傾向にあります。スペースが足りないと、歯が移動しにくいので治療期間が長くなる傾向があります。

デメリット

① 歯の本数が少なくなる

将来、歯周病や虫歯で歯を失うことになってしまうと、小臼歯の抜歯を伴う歯列矯正を行うことでブリッジを入れるための支台歯に影響が出ることが考えられます。
例えば5番目の歯を失った場合に4番目の歯が抜歯されていると、6番目の歯と3番目の歯(犬歯)をブリッジの土台にする必要があります。
ただし歯の本数が少なるからといって食べ物を噛む能力が落ちることはありません。1999年に発表された論文で、抜歯直後は咀嚼能力が減少するものの、歯列矯正治療終了後の咀嚼能力は治療前と同程度となることが報告されています。

② 治療途中に隙間が目立つ

小臼歯を抜歯すると隙間ができます。
隙間を閉じる期間は半年から1年を要するため、治療途中で隙間が気になる場合があります。
隣の歯が天然歯の場合は人工歯を付け、少しずつ人工歯を削りながら隙間を閉じることで隙間が目立つことなく治療をすることができます。
ただし抜歯をする隣の歯が被せ物の場合には材質によっては人工歯を付けられない場合もあります。

③ 痛みを伴う

抜歯をする際には麻酔を行いますので術中の痛みはありません。
麻酔が切れた際に痛みが出ることが多いので痛み止めを飲んで炎症を抑えます。
3日くらい痛みがある場合が多く、約1週間で痛みは無くなります。
うがいの頻度が多すぎたり、強度が強すぎたりすると傷の治りが悪く、ドライソケットとなる場合があります。
その場合には痛みが長引くので、痛み止め入りの軟膏を塗布して痛みを抑えながら治癒を待ちます。

④ 治療期間が長くなる場合がある

抜歯スペースを閉じるために治療期間が長くなる場合があります。
歯の重なりが大きい症例では抜歯スペースを歯を並べるために使うので治療期間は短い傾向にありますが、歯の重なりが小さく、前歯の後方への移動や奥歯の前方への移動でスペースを閉じる場合には歯の傾斜を防ぎながらスペースを閉じていく必要があり、治療期間が長くなる傾向にあります。

まとめ

抜歯を伴う治療にはメリットデメリットがあります。
歯を抜かずに無理なく歯列矯正ができれば良いのですが、抜歯をすることでメリットがデメリットを上回ると考えられる場合には抜歯をお勧めします。
診断ではセファロ分析やCTで顎骨のボリュームなどを確認してから慎重に抜歯の必要性を確認しますのでご安心ください。

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