歯科矯正用アンカースクリューの大きさ
前回に引き続き歯科矯正用アンカースクリューを用いた治療についてご説明させていただきます。「インプラント矯正のメリットその1」でも記載しましたがアンカースクリューは直径2mm以内、長さは10mm以内と極めて小さいものです。したがって手術は簡単で痛みはほとんどありません。
手術について
例えば上あごの裏側に入れるアンカースクリューは手術時間約5分で、出血は1滴あるかどうかです。外す際には麻酔なしで除去することができ、表面の穴は3日程度で治ります。骨の穴に関しては1ヶ月程度で新しい骨ができてきます。
インプラント矯正で治療期間が短縮できる症例2
前回は口元に突出感がある症例についてでしたが、今回は口元の突出感はなく、歯が重なって並んでいる場合の治療法についてご説明したいと思います。
従来の治療では重なりの程度を計測し、歯を並べるためのスペースが不足していると判断されれば、小臼歯と呼ばれる前から数えて4番目の歯を抜いて、その隙間を使ってがたがたしている歯を並べていきます。私も昔矯正をした際、ある程度歯並びに重なりがあったため全ての4番目の歯を抜きました。抜歯基準については以前のブログに掲載させていただきましたが、決して抜歯が悪いものでというわけではなく、必要な時には抜いてあげた方がメリットが大きい場合もあります。しかしながら歯科矯正用アンカースクリューの登場により歯を抜かなくても無理なく歯を綺麗に並べることができる症例が増えてきました。
抜歯基準が作られた時代にはインプラントを併用するということがなかったため、歯を抜いてスペースを作るしか方法がありませんでしたが、アンカースクリューにより奥歯を後方に移動し、歯を並べるための隙間をある程度作ることができるようになりました。奥歯の後方のスペースを利用することができるので、アンカースクリューがなかった時代には抜歯なしでは治療できなかったような症例でも歯を抜かずに治療することができるようになっています。ただし、条件として奥歯の後ろに、奥歯を移動させるための骨があるかどうかや、アンカースクリューを入れる部位の骨に厚みがあるかどうかの診断が必要です。したがって治療前にCTで骨の状態をよく確認することが重要になります。
当院では初診コンサルテーション時にCT撮影を行っています。ご相談の時点でアンカースクリューの併用が可能かどうかも分かりますのでその日のうちにある程度詳しい治療方針や期間、費用などをご説明させていただいております。ご自分の歯並びがアンカースクリューを併用した治療に適しているかどうか気になっている方は当院にご相談ください。