裏側矯正とは、歯の裏側にブラケットとよばれる矯正装置をつけ、そこにワイヤーを通して圧をかけることで歯を動かしていく矯正治療方法です。歯の裏側に装置をつけるが故に、発音や滑舌への影響を心配なさる方もいらっしゃいます。
この記事では、裏側矯正が発音や滑舌に影響があるといわれる根拠や、その対処法を詳しくご紹介します。
目次
裏側矯正が発音や滑舌に影響するといわれる理由
裏側矯正が発音や滑舌に影響があるといわれる根拠を以下にご紹介します。
舌の動きが制限される
ブラケットやワイヤーなどの矯正装置が歯の裏側についていることにより、舌が収まるスペースは本来よりもやや狭くなります。そのため、舌の動きが制限され、通常よりも舌を動かしづらくなるということが起こるのです。舌が装置にあたることを意識しすぎてしまい、滑舌に影響が出る方もいらっしゃいます。
ブラケットに舌が引っかかる
発音の際に舌がブラケットに引っかかると、発音がしづらくなったり滑舌が悪くなることがあります。ブラケットそのものの厚みは僅か数ミリではありますが、ブラケットやワイヤーを装着することにより凹凸はどうしても生まれるので、そこに舌が引っかかりやすくなります。
裏側矯正で発音しにくい音
歯の裏側に矯正装置がついていると、発音しにくくなる音があります。サ行、タ行、ナ行、ラ行などがその例として挙げられ、また濁音であるザ行、ダ行も発音に影響が出るといわれています。これらの音に共通することは、発音の際に舌を歯ぐきの裏に当てる、という点です。ブラケットやワイヤーが歯の裏側についていることで、舌を歯ぐきの裏に当てる動きを阻害していまい、思っていたように発音ができなくなることがあります。
発音や滑舌への影響の対処法
裏側矯正が発音や滑舌に影響する場合の対処法を、以下にご紹介していきます。
1ヶ月程度すれば慣れる
基本的には、装置をつけて1ヶ月ほどもすれば慣れてくるといわれています。舌をどのように動かせばよいか、ということを体が覚えようとするからです。慣れるまでの期間には個人差がありますが、早い方では数日~数週間で慣れる、という方もいらっしゃるようです。それまで待てない、という方は、次にご紹介するような方法をお試しになることもおすすめします。
母音を発音できるようにする
滑舌をよくするコツは、「母音を正確に発音できるようにする」ことです。母音とは、「あいうえお」の5つの音で、それ以外の音(子音)もすべて母音との組み合わせで構成されています。そのため、母音を正確に発音することが、他の音の発音や滑舌そのものをよくすることに繋がります。
母音の発音を向上させる「母音法トレーニング」をご紹介します。例えば、「おはようございます」の母音だけを拾うと「おあおうおあいあう」となります。この「おあおうおあいあう」を明瞭に発音できるようにするのが、母音法トレーニングです。「おあおうおあいあう」を繰り返し練習した後にそのままの感覚で「おはようございます」を言うと、母音がしっかり発音されるようになります。
舌の筋肉を鍛える
筋肉の塊である舌を鍛えることも、発音や滑舌をよくするために効果的です。顔が天井と平行になるくらいしっかりと上を向き、舌を思いっきり天井方向に突き出します。舌を出したまま数秒間キープして、舌を戻す、を数回繰り返します。ご自宅でも簡単に取り組めるトレーニングなので、ぜひお試しください。
滑舌への影響が少ない装置を検討する
裏側矯正で使用する装置の種類によっては、発音や滑舌への影響を極力抑えられるものもあります。通常使用する装置よりも小さいものや、オーダーメイドで装置を作製するものなどです。どうしても発音や滑舌に影響を与えたくない、という方は、このような装置の使用を検討することも一つの手段です。詳しくは、担当医までお気軽にご相談ください。
まとめ
いかがでしたでしょうか?裏側矯正は発音や滑舌に多少の影響がありますが、慣れやトレーニングによって解消することができます。治療に際しご不安や疑問点などがございましたら、ぜひお気軽に担当医までご相談ください。