インビザラインとは、薄くて透明なマウスピースを歯列に装着して少しずつ歯に力をかけてくことで、歯並びや噛み合わせを整えていく矯正治療方法です。装置の見た目が目立たず、簡単にマウスピースを着脱できることなどからも近年非常に人気があります。しかし、このマウスピースも正しく取り扱わないと破損や紛失の原因となってしまいます。
今回の記事では、マウスピースの正しい着脱方法や、破損・紛失をしてしまったときの対処方法などを詳しく解説します。
目次
インビザラインではどのようなマウスピースを使う?
インビザラインの治療で使われるマウスピースは、薄くて透明です。厚さや約0.5mmで、マウスピースを歯列に装着した時にしっかりとフィットし、装着による違和感や不快感もできるだけ抑えられるようなつくりになっています。
また、マウスピースはこれまで硬い素材でつくられることがほとんどでしたが、インビザライン独自のプラスチック素材「スマートトラック」が2013年以降は採用されるようになってきました。この素材は従来のプラスチックとは異なる柔軟性が大きな特徴で、ただ柔らかいだけでなく弾性やフィット感にも非常に優れています。
インビザラインの正しい着け方
新素材の登場によりマウスピースは扱いやすくなりましたが、なにをしても壊れないというわけではありません。無理に力を入れて着脱をしたり雑に扱うと、破損するおそれがあります。正しい着脱方法を身につけておきましょう。
①マウスピースの上下を確認する
マウスピースを着ける際に、まず上下を確認するということが最も大切です。上下の歯列は全く異なるものであるため、上下を間違えているにもかかわらず無理にマウスピースをはめようとすると、変形や破損に繋がります。前歯が大きいのが上顎の歯列、と覚えておきましょう。
②奥歯からゆっくりマウスピースを着ける
慣れてくるとマウスピースを噛むように装着する方が稀にいらっしゃいますが、この方法はマウスピースを守るためにも避けるべきです。マウスピースは両手で持ち、できるだけ鏡を見ながら装着しましょう。マウスピースを前歯の位置に合わせたら、奥歯からゆっくりと力をかけていきます。奥歯の粘膜をマウスピースに挟み込んでしまうことがあるので、気をつけましょう。
③しっかりフィットさせるには
マウスピースを装着したあとに少し浮いてくるような感覚がある場合は、「チューイー」とよばれるシリコン製のロールチューブを使ってみましょう。マウスピースが浮いている状態のまま装着を続けても、期待どおりに歯に力がかかりません。チューイーを歯列に合わせ、ぐっと噛みます。チューイーは歯科医院やネットショップなどで購入できます。使い捨てではないので何度か使用できますが、弾力がなくなってきたり破損しているようであれば新しいものに取り換えましょう。
インビザラインの正しい外し方
マウスピースは特に外すときに強い力がかかりがちです。正しい外し方を身につけ、変形や破損のリスクを最小限に抑えましょう。
①上顎のマウスピースの外し方
マウスピースを前歯から外そうとすると、過剰に力がかかったりマウスピースの縁を傷つけてしまうことがあります。左右どちらから外しても構いませんが、奥歯の内側とマウスピースの境目に指をかけるようにし、下方向に向かって押し出します。マウスピースが外れて浮いたら、反対側の奥歯も同様に外します。両側の奥歯のマウスピースが外れたら、前歯の部分をやさしく下方向に引っ張るようにして、マウスピースを口の中から取り出します。
②下顎のマウスピースの外し方
基本的な外し方は、上顎と同様です。下顎のマウスピースを外すときも、左右どちらかの奥歯の内側に指をかけてマウスピースを浮かせます。両側の奥歯が外れたら、前歯の部分をやさしく上方向に引っ張ります。
③アタッチメントがついているときの注意点
アタッチメントがついている場合、マウスピースを外すときにアタッチメントも一緒に外れてしまわないよう注意しなければなりません。歯の外側(アタッチメントがついている側)からマウスピースを外そうとするとアタッチメントが脱離してしまいやすくなるので、先ほどもご説明したように歯の内側からマウスピースは外しましょう。
マウスピースを破損してしまったら?
マウスピースがもし変形や破損をしてしまったら、無理に装着し続けることは絶対にやめましょう。本来かかるはずの力が歯にかからない、もしくは意図していたものとは違う力が歯にかかってしまう可能性があります。
基本的にはすぐに矯正治療を行っている歯科医院に連絡をしていただきますが、即日受診できない場合もあるかもしれません。そのような場合は、1つ前のマウスピースを着けて過ごすようにしましょう。受診するまで何も着けないままでいると、歯が後戻りしてしまう可能性があります。
マウスピースを紛失してしまったら?
マウスピースを紛失してしまったときも、基本的には破損したときと対応は同じです。1つ前のマウスピースを着け、後戻りしないようにしましょう。インビザラインの場合は治療を開始する段階で全てのマウスピースをまとめてお渡しするので、紛失しないように保管していただくことも大切です。
また、このような破損や紛失が起こる可能性に備え、使い終わったマウスピースはすぐに破棄せずに、綺麗に洗浄したうえで一定期間保管しておくようにしましょう。マウスピースの紛失は旅行の際などにも起こりやすいので、旅行の際には1つ前のマウスピースも予備として持参するなどの工夫もおすすめです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?インビザラインのマウスピースは正しく取り扱わないと変形や破損、紛失の原因となってしまいます。そして、それが起こった場合はマウスピースを作り直す必要が出てくるため、治療期間が延びてしまう可能性が高くなります。今回ご紹介した内容をよく理解し、マウスピースは正しく扱いましょう。
当院では、治療経験豊富な歯科医師が患者様の様々なお悩みに合わせて最適な治療方法をご提案いたします。矯正治療にご興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。